飴玉恐怖談話

白鷺(楓賢)

前編:不気味な駄菓子屋

薄暗い夕暮れ、田舎町の古びた駄菓子屋の前に立つ亮太は、何かに引き寄せられるようにその店に足を踏み入れた。店の外観はどこか不気味で、長い間手入れされていない様子だった。


「いらっしゃいませ」と聞こえるはずの声もなく、床がぎしぎしと音を立てるだけだ。店内は薄暗く、ところどころにほこりが積もっていた。駄菓子の棚も古めかしく、時が止まったような雰囲気が漂っている。


店内をうろつく亮太は、ふと店の奥に目をやると、たくさんの飴玉が入った古びた木箱を見つけた。その箱の側には「お金は適当に置いておいてください」という張り紙が貼られている。店員は一向に姿を現さない。


箱には「運試しに挑戦」と小さく書かれていた。飴玉はすべて同じ色、同じ形をしており、何が運試しか分からなかったが、亮太は興味本位でそのうちの一つを選び、30円を置いた。


飴玉を口に入れると、甘い味が広がる。しかし、その瞬間、亮太の頭がぐるぐると回り始め、お酒に酔ったような感覚が襲ってきた。次第に意識が遠のき、倒れ込む亮太。

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