企画 感想

若葉エコ(エコー)

#匿名現代切恋企画 感想

切恋企画




【まず始めに】


この感想はエツハシフラクさま主催の「匿名現代切恋企画」という短編企画に参加されている作品たちへの感想です。


↓企画ページです。

https://kakuyomu.jp/works/16818093080711847079


あくまで私の思ったことなので、あまり気にしないでください。

中にはトンチンカンな感想もあるかもですが、こういう見方をする人もいるんだーくらいに思っていただけたら幸いです。

作品によって感想の量が違いますが、大前提としてすべて面白く読ませていただきました。

あと、私はラブコメ馬鹿なので、意見に偏りがあります。


それらを、あらかじめご了承くださいませ。





では。





【愛里沙は永遠の十八歳】

優しくも切ない、繰り返される日常。

主人公の優平は一見献身的に見えるけれど、少し違うようにも感じた。

ともに記憶を重ねていけない愛里沙。

ずっと「高校生の頃の恋」をしている妻。

優平は愛里沙にべた惚れなのだろう。

だから記憶がリセットされても、その度に愛里沙に説明をするのだろう。

献身ではなく、愛里沙が好きだから。


そんな「変わらない日常」は残酷かつほのぼのとして見えた。

でもやはり思い出を共有できないのは寂しいし、切ないですね。

ご主人、頑張って。゚(゚´Д`゚)゚。










【〈初恋〉三番はあなた】

初恋は実らない、なんて昔は言いましたが……切ないですね。


二人の主人公のひとり天月優子は初恋がトラウマになって恋愛ができなくなった。

もうひとりの日向聖斗は、初恋の相手を救えなかったことがトラウマになっていた。

共通する人物である渋滝は、もうどうでもいい奴になった。

しかし、出てくるタイミングが最悪で絶妙。

昔好きと言ってくれた女子に片っ端から声をかけてるんだろうな。

情けない。

こんな自分勝手で最低な奴が二人の主人公のトラウマの原因になってしまったことが、一番切ないと思いました。











【運命の人】

ボーイミーツ幽霊。

主人公と幽霊が美味いと言うコーンスープと肉まんって、本当に美味しいんだろうか。

それはさておき。

主人公は、女子と話すのが苦手なよう。

そしてやっと普通に話せる女子に会えたと思ったら相手は幽霊。

切ないというか、不憫。

主人公にしか見えないっていうのも、運命というか特別感を抱いた要因なのかな。

そして、え。

幽霊女子、生きてる。

幽体離脱的な、アレだったのかな。

ともかくハッピーエンドでよかった。










【ノアの憂鬱】

青春のエンドロールのような物語。

ノアって音楽スタジオなのね。

高校生の女の子にとってスタジオは別世界なのでしょう。

しかもなかなかの規模のスタジオのよう。

ラスト、最後のライブとあるので、主人公はバンドをやめてしまうのでしょうか。

でも音楽はやめられないでしょう。

DTMとか、社会人になっても続けることはできますから。

そのきっかけが光希さんだったら、いいなぁ。











【雨上がりの空の下で、初恋だった貴方とのさよならを。】

タイトルから切ない。

やはり切ない恋というと、初恋が先頭に来ますよね。

主人公は社長令嬢。

どちらかというとおとなしいお嬢様のよう。

けれど笠木くんには、攻める攻める。

それはもう、勘違いの余地すら残さない「好き」の絨毯爆撃。

けれど、笠木くんは選べない。選ばない。

最後の願いを、告白ごと抱きしめるしか、できなかった。

これはアレですね。同窓会なんかあった日にはもう、焼け木杭が激しく再燃しそう(大好物)









【『ミライを求めて』】

芸術家との恋というと、すぐにロダンとクローデルを想起してしまうのがワシの悪いクセ。

しかしこの作品は純愛でした。

絵を好きになって画家自身に惹かれて、いざ満たされると彼の絵は変わってしまっていた。

きっと彼は、渇望を原動力にして描く画家だったのでしょう。

そして彼自身が満たされたことで彼の絵は輝きを失ってしまった。

難しい問題ですが、けっこうある話だったり。

主人公は、彼の絵に再び輝きを取り戻すために別れを決めて。


好きなのに、離れる。

好きだけど、一緒にいられない。

悲しく切ない、良い物語でした。












【華鏡と初恋】

すこし不思議なお話でした。

日本には八百万(やおよろず)の神さまがいるとかいないとか。

長く大事にされてきた物にも、神さまは宿るらしいです。

華鏡は和鏡、金属板の表面をピカピカに磨き上げたもの。

かなりの年代モノでしょう。

主人公の女の子は名家の生まれとあるので、先祖代々受け継がれてきたのでしょう。あ、ラストに書いてありました。

主人公は、二度鏡に助けられました。

ヒーローですよね。好きになるのも当然です。

最後のおばあちゃんのセリフが良かったですね。


代々の華鏡家の娘は、鏡に初恋をする。


いいですね、非常にいい。

甘酸っぱい通過儀礼ではない、優しい初恋のお話でした。












【もしも私たちが、来世で出会えたなら、きっと】


面白い構成の話でした。

主人公の一人称視点なのに、主人公が誰かわからない。

しかし「私のような畜生」とあるので、人間ではない。

「彼女」は、「私のような畜生」を含めたすべてに優しく映る。

前世の罪を背負う主人公には、その優しさが眩しかったのかもしれませんね。

だから惹かれ、想いを寄せていく。

しかし主人公は、遠くから見るだけでは満たされなかった。

「彼女」部屋に入ろうとして、ガラス窓に激突してしまう。

それでも「彼女」は優しかった。

けれど、「彼女」と一緒に現れた「男」は、自分だけに向けられない優しさや愛情に不満を持っていて──


「彼女」が「男」以外にも優しさを持つのは、本当に純粋な人だからなのだろう。

しかし「男」の雀である主人公への敵意、かつて飼っていた鳥への仕打ち。

それに「彼女」は怒って、「男」に殺意を抱いてしまう。

そして──パトカーのサイレンが鳴った。

人間の業というか、原罪というか、そういう意味での切なさなのかな、と感じました。















【死神霊子は僕にだけ冷たい】

この企画で2作目のハッピーエンドですね。

好きだから関わらない。

好きだから避ける。

好きだから嫌われようとする。

篠上さんの複雑な心情の変化が、作中の時間経過とともに変化していく様子が、居た堪れない。

そして不幸は、主人公(田崎くん)の身にも降りかかる。

偶然かもしれない。

でももし、これが篠上さんの「呪い」ならば。

そして篠上さんは主人公を拒絶する。

そのあとの主人公がいい。

しゃがみ込んで泣く篠上さんに抱きついた主人公は、これからの不幸は今の幸せの前借りを返しただけ、という。

不器用で粗野だけど、優しい世界だなぁ。













【終わらない恋】

報われない恋ほど、切ないものはないと思います。

同性の幼馴染を好きな主人公の女の子。

幼馴染は女の子の双子の兄が好きで、その兄は妹である主人公が好きで。

なんと報われないトライアングル。゚(゚´Д`゚)゚。

好きな相手の幸せを願うには、自分の心にウソを吐く必要がある。

全員が幸せになる方法なんてなくて。


だから主人公は、泣きたいのを堪えて祝福の笑みを贈る。

自分の幸せではなく、好きな幼馴染の幸せのために。


切ねぇ……超切ねぇ。゚(゚´Д`゚)゚。










【ヒトシズクアイ】


まずはタイトルを見てキズナアイを想起した自分をブン殴り終えたところで。

前世の、叶わなかった恋。

これはもう呪縛に近いものに感じます。

そして前世の恋人は、今は主人公の姉。

姉であるが故に、無碍にできない。

家族であるが故に、避けられない。

前世での恋人ならば、なおさらのこと。

つらいなぁ。

なまじ前世の記憶が残っているばかりに、主人公はずっと苦悩し続けるのだから。

しかも他人に話しても、信じてもらえるかわからない。

信じてもらえたところで、どうしようもない。

姉は、前世の恋人本人じゃないから。

わかっているからつらい。

主人公は、この呪縛とともに生き続けるのでしょう。

つらい。゚(゚´Д`゚)゚。












【好きになんて、なりたくなかった】


難しい問題を含んだ作品ですね。

誰も、最初から相手を定めて好きになるわけではないと思うんです。

気がついたら気になっていて、目で追うようになって、相手のことを考える時間が増えて、いつのまにか好きになる。

順番も要素も個人差はあるけれど、こういう自分では止められないプロセスが、恋心に変わるのでは、と思います。

女の子どうしの恋を、『てぇてぇ』で片付けてほしくない主人公の心情も察せられます。

作中に書いてある『対岸の火事』という言葉も刺さります。

当事者にとっては他人事ではありませんから。

そんな主人公の女の子は、疎外され、蔑まれ、男性を好きになろうとする。

しかし思って好きになれるのなら、主人公はこんなに苦しまない。

好きな気持ちなんて、制御不能。

そんなときに主人公の前に現れた莉緒さんは、果たして『主人公側』の女の子なのか。


いちばん切ないのは、主人公が恋愛を悲観しかできなくなってしまったこと。

そう感じた作品でした。











【シーユーレター・レター】

うってかわって、高校生の等身大の恋のお話ですね。

転校。

これは小中高を通じて、人生の転機になり得る大事件ですね。

切羽詰まると、人って足掻くんですよね。

もちろん足掻くべきなのですが、主人公は「もう遅い」と言い切ってしまう。

突然我が身に降りかかった転校は、主人公の冷静さを奪っていって。

それが父親には解らない。

会社の都合といえど、転勤は親の都合。

子どもがそう思っても、仕方がない。

だって、振り回されるのはいつも子ども。

そんなとき、お見送り会の連絡。

なんとも挑発めいた内容に、そりゃ主人公も怒ります。

そんなこんなで、お見送り会。

剣城くんがみんなの前で「素」を見せることで、なんとかハッピーエンド。

しかし、かなり危ない橋でした。

あー、甘酸っぱくて切なかった。









【Hero】

ああ……ああああああああああああああああああああ

──よし、落ち着いた。

では。


高校から大学って、大人と子どもの端境期なんですよね。

選挙権や法律云々だけでなく、気持ちや感情も。

そんな端境期の一歩前で、恋する主人公。

相手は、英雄くん。

この時点で軽いタイトル回収があって。

どうも実習生の小野原先生と英雄くんは知り合い以上の仲。

というか竹刀の描写、いいですね。

作者さんは剣道経験者さんかな。

……おっと脱線。


英雄くんは、何がしたいのでしょう。

優しいのはわかるけど……

そして主人公は、パンドラの箱を開けてしまいます。

中身は小野原先生と、女の子の格好をした英雄くんが映ったプリクラ。

写真じゃなくて、プリクラ。

ああああああああああああああああああああああああああああああ


──失礼しました。

切ないなぁ……好きな男の子の、女の子な一面。

けど、最後には救いは……


ああああああああああああああああああああああああああああああ


ありませんでした。゚(゚´Д`゚)゚。


つらひ









【かりそめ主従関係】

切恋企画の最後を飾るのは、なんとも大人なお話ですね。

この作品もある意味、等身大なのでしょうか。

大人になるって、様々な出来事との折り合いのつけ方が上手くなることだと思うのです。

ウソを吐くのも、折り合いのつけ方だったり。

元彼とコノエ、二度の拒絶を経験した主人公は、それでも親友のつけた折り合いに喜ぶ。

そして、少しだけ自分の扉を開いた。


なんというか。

失恋して、そのぽっかり空いた心の穴を埋めようとして。

穴を埋めてくれるかもしれない相手にも拒絶されて。

大人の空虚感というか、虚しさ、悲しみ、切なさ、怒り、諦めが一体となった感情を、主人公から感じました。

そんな状態でも、生きていく。

主人公の最後の言葉は、生きていくための一縷の望みのように思えて。

大人って切ない、と思わされる作品でした。








ということで、全参加作品の感想でした。

もう一度言いますが、あくまで私の私見です。

なので、

「あれ、狙いと違う感想だな」

と思っても、たった一人の感想であり、ただの意見です。


そんな言い訳をしたところで。

お読みいただきありがとうございました!














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