ハズレスキルの最強装備職人

矢舘 水

異世界へ

「できたー!!」


 教室でそう叫んだ俺の名前は、桐山 勝弥(きりやま しょうや)。普通の高校の普通の生徒だ。ただ、他の人よりものづくりが好きなだけ。趣味でワークショップで買ったものや、その辺にある金属ゴミでアクセサリーなどを作っている。


「今度は何作ったんだー?」


 こいつは親友の真田 勇気(さなだ ゆうき)。小学校からの幼馴染で誰とでも仲良くできる元気なやつだ。


「今回は古物商で買ったネックレスをリメイクしてみた!いかにもマダムが付けてそうな宝石がゴロゴロついてるやつだったんだけど、その宝石がきれいでつい買っちゃった!」


「すげー!かっこいいな!それ頂戴!」


「いいよっ!どうせ勇気しか付けてくれないしな笑」


「ありがと!大事にする!」


 勇気は、俺が作ったものを気にってよく身に着けてくれている。さすがに全ては付けられ無いのでその日の気分で付け替えている感じだ。


「なんだぁ?またそんなゴミつくってんのか?そんなゴミ持って帰らないといけないそいつがかわいそー」


 こいつは鬼石 哲正(おにいし てつまさ)。よく突っかかってくクラスのボス的存在だ。


「俺は好きでもらってんだ。そんな言い方するなよ。」


 勇気が俺の代わりに鬼石に言い返す。いくら誰とでも仲良くするとは言え鬼石とは仲良くするつもりは無いようだ。


「あ?なんだその態度。殺すぞ。」


 鬼石が勇気に殴りかかろうとした。


「やめなよ!先生呼ぶよ!」


 一人の女子が声を上げた。

 姫野 美咲(ひめの みさき)。勇気と同じく小学校からの同級生だ。小学校のとき、いつも3人で遊んでいた。


「ちっ。ダルっ。」


 鬼石は殴るのをやめた。普段から暴行やいじめを行っており、停学も珍しくなかった。先日先生から呼び出しをくらい、次何かしたら退学と言われていた。


「そういえば先生遅くない?」


「いつもならもう来てるのにね。」


 周りの生徒がざわざわし始めた。

 担任の黒川先生が来ないからだ。

 黒川先生は担当教科は科学で、根暗で気が弱く、なにかブツブツとよく独り言を言っている先生だ。

 いつも時間通りに教室に来るのに今日は来る気配がない。


(なにかあったのだろうか?)


 そんないつもと違う状況にみんながざわざわしていると


ピカー!!


 いきなり床に大きな魔法陣のようなものが現れ発光し始めた。

 一瞬にして教室にいる生徒全員を眩い光で包んだ。


「うわ!」


──────────


「おぉ……!」


 そんな声が聞こえ、光でやられた目をゆっくりと開けると、そこは漫画などで見る西洋の城の大広間の様な所だった。

 周りにはさっきまで教室に居た生徒が居た。

 皆何が起こったかわからないのか、キョロキョロと周りを見渡す者、状況がわからず泣き出す者、友達に状況を尋ねる者、


「なんだよここ!!!」


 怒り狂う鬼石もいた。


「よくぞ参った。」


 皆が声のする方を向いた。

 そこには、王冠を被り立派な白い髭を蓄えたいかにも王様と言わんばかりの人が立っていた。

 周りにはその側近だろうか、数人の鎧を着た兵士や、王妃のような人、メイド、その他貴族の格好をした人達がいた。

 ここが普段いる日本では無いことはすぐにわかった。


「今回は失敗ではないといいのですけど…。」


王妃のような人が言った。


(今回…?)


 少し疑問に思ったが、そんなことを考えるより、今の状況の方が気になった。


「まぁまぁ、今回は人数も多いし大丈夫であろう」


 王様のような人がそれを宥め、続けた。


「皆、混乱していると思うが、よく聞いてほしい。ここは君達がいた世界とは違う。」


「異世界転生…。」


 誰かが呟いた。

 漫画の知識だが、異世界転生とは、我々が住んでいる世界とは別の次元に飛ばされることだ。

 王様のような人は話を続けた。


「申し遅れた。私はこの国を治める王、名をグランスと申す。そしてこちらが私の妻のアメテルだ。」


 王妃のような人を指して言った。


「今このグランスは危機に瀕している。魔王が復活し世界を滅ぼそうとしているのだ。そこで、君達に助けてもらうべくこちらへ呼んだのだ。」


 その言葉を聞いて納得できるものは居なかった。

 いや、1人居た。


「それって!つまり俺達勇者ってこと!?やった!」


 普段、漫画ばかり読んでいる根岸 裕太(ねぎし ゆうた)だ。

 異世界物にハマっているらしく、別クラスの友達と話しているのをよく耳にする。


「なんだそれ?」


 鬼石が不思議そう言った。

 根岸の言葉に王様が返した。


「勇者かどうかはわからぬ。だが、君達には特別な力が備わっているはずじゃ。ステータスオープンと言ってみろ。」


 「ステータスオープン」


 皆が発した。

 皆の目の前にゲームのウィンドウのようなものが現れた。


==========

恐山 勝弥


LV.1


HP:150/150

MP:30/30

攻撃:15

防御:10

体力:30

速さ:15

腕力:50

賢さ:20


職業:鍛冶師

スキル:

装備複製 Lv.1

素材があれば金床とハンマーを使い、触れたことがある防具とアクセサリーを能力値変化や耐久度が1/10の状態で複製できる。


???? Lv.?

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==========


(なんだこれ…。)


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