社長と歌姫
『……あの怖いもの知らずの
革のソファに座ったユーロゥがそう伝えて視線を窓辺に向ける。ドーム状の外壁に囲まれた
『感謝してくださいまし。今やユネイル社の知名度は
『いや、君を起用する前から僕の会社はそれなりに有名だったのだけど』
少女はくすくすと肩を震わせる。緩く編んだ金色の髪が揺れるのを見てユーロゥは軽く目を閉じた。
『今日の
少女が言い返す前に来室を告げる細いベルが鳴る。ユーロゥが音を立てずにソファを立つと、その脇に控えるように少女が並んだ。
応接室を訪れたのは若い女性だった。
『ルヴィ・フォーカス社のリラ・マーズです。ユネイル社の社長ユーロゥ・ユネイルと歌姫フラナデール・リティ。今をときめくお二方とお話ができるなんて光栄に思います』
そう伝える割に、静かな作り笑いはフランを
挨拶を済ませソファに座った三人は細い
『ミスタ・ユネイルは二十歳という若さでユネイル社を設立され、今では
リラの
『その行動力と発想力には大変驚かされます。起業される前は
『私はもともと
リラがわずかに眉をひそめたことは気づかない振りをしておいた。彼らとの交友は騒がしくも刺激的で、自分にとって間違いなく価値のある経験だった。
『ダラスという友人とね、彼の故郷だという村に旅行に行ったんです。そうしたら、肝試しで入った洞窟の中で急に互いの
『まあ、それは驚かれたでしょう』
『ですが、その時にぴんと来たんです。ここには何かがあると』
リラはそれを聞き納得したような顔をした。
『それが、ユネイル社に富をもたらした
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