神の食事
逢初あい
店内には落ち着いた雰囲気が流れていた。主張しすぎない音楽と、客たちの控えめな話し声、そして食器類が立てる様々な音が見事に調和している。細波のように心地良い調和を、怒号と甲高い破壊音が打ち消した。
「・・・・・・・・・!!」
老紳士然とした者が一人の店員を怒鳴りつけている。若いその店員は、萎縮しきっている様子で平謝りを続けている。
「・・・・・・・!」
なおも男は怒鳴り続ける。そこに店のマネージャーが応対に来た。若い店員を下がらせ、慇懃な態度で男の言葉に耳を傾けている。
「・・・・・!・・・・・?!」
なおも怒り心頭の男に周囲の客は辟易とした様子だった。見かねた店長が、各テーブルを周り謝罪を始める。その様子を見た男はさらに声を荒げ、怒髪天を衝くといった様子だ。
「・・・・・・・!!!」
穏便に済ませるため、代金は結構だと伝えると男は当然だ、と言わんばかりの面持ちで店を後にした。店内は物音ひとつしない。
「・・・・次のニュースです。昨日、路端で餓死している男が発見されました。この男はここ数ヶ月、各地の飲食店で神を自称し暴言や暴行を働いていた男で….」
神の食事 逢初あい @aiui_Ai
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