第23話 ライトSIDE ゴメンな......リヒト


画像を見せて貰ったが、未だに信じられない。


「なぁ、リメル、あの画像は見間違いじゃないのかな?」


「そうだね、リヒトは僕たちより劣るけど、A級だから、普通に仕事は出来る! それに貯金だってしていそうだから態々醜い奴隷を買う必要はないと思う」


「そうだよな」


他の二人もコクリと首を縦に振った。


何もかもが可笑しい。


ギルドだって間違いはある。


恐らくは間違いだ……


真実を知るには、もう一度リヒトに遭う必要があるだろう。


「それでライト一体どうするんだ!?」


「流石に全員で押しかけるのは不味いだろう? 俺がまずは1人で行ってみる。まだ、そこ迄離れていないから2週間もあれば行ってこられる。俺が留守の間は自由にしてくれ」


「「「解ったわ」」」


こうして俺はリヒトに逢いに旅立った。


◆◆◆


1人で旅をしリヒトが住む街にたどり着いた。


俺はリヒトが居る街のギルドにより事情を聴く事にした。


事情が事情だからか、ギルマスが相手をしてくれてすぐに話を聞く事が出来た。


「報告した通り、間違いない。あんたが、彼奴を追放したから、リヒトはもう壊れちまったんだよ」


「壊れた?」


何度聞いても、信じられない位大変な話だった。


リヒトをこの街で見かけた時は誰が見ても可笑しい位狂っていたそうだ。


『英雄』とまで言われたリヒトが、初心者冒険者がやるような仕事しか受けない。


「確かにリヒトらしくないな」


「ああっ、ただ物凄い数をこなすのと巣ごと討伐しているから実力は健在のようだ」


「そうなのか?」


「まぁな…それで俺達の中では勇者パーティを追い出されたのがショックだったんじゃないかと思っていたんだが」


「それは違うな! 俺が戻るように言ったが彼奴は断ってきた」


「そうか……」


どうやら俺が思った以上に何か複雑な事になっていたのかも知れないな。


これは自分の目で確かめる必要がある。


「それでリヒトの事だが、奴隷と一緒に仲良く暮らしているんだが……放って置いてやれないか?」



ふざけんじゃねーぞ。


そうか、そういう事か…俺達が辛い旅を続ける中、彼奴は奴隷を買っていちゃついていたのか? そうかよ!


そりゃぁ…もう幼馴染なんか関係ねーわ。


金さえ積めばどんな女奴隷でも買えるんだからな。


チクショウーーっ。


彼奴だけ良い思い、何てさせねーよ。


心配した俺が馬鹿みたいじゃ無いか。


「リヒト…最低だな! 今の話の何処が彼奴が壊れた話なんだ! 奴隷を買って幸せに暮らしている!そういう話だろうが!そんな事なら魔王討伐優先だ。無理にでも連れていく!」


「あのよう…お前凄く勘違いしているぞ! リヒトが買った奴隷は凄く不細工だ。最早化け物にしか見えねー位にな。俺が見た奴隷の中じゃあれより醜い女を見たことがねー。俺が言うんだから間違いねーよ」


本当......なのか?


「えっ」


マジでそうなのか? まさか、あの顔、本当にあの通りなのか?


嘘だろう。


彼奴はそこそこ顔も良い。


実力だってある。


そんな醜い奴隷を買う位なら何処かのパーティに入る筈だ。


C級レベルの女のパーティなら喜んで彼奴を迎える筈だ。


「嘘だろう、大袈裟に言っているだけじゃねーのか?」


「真面目な話だぜ......だってその奴隷の1人はたったの銅貨3枚で売られていたんだ。女なのに鉱山奴隷より安いんだ。その酷さが解かるだろう?」


俺はどうしても信じられなかった。


「……」


「だったら、見て見れば良いじゃねーか? 流石にリヒトは会いたくないだろうから、そこら辺に隠れて見たら良いぜ、あらかじめ呼び出して置いたからな……ほら二人が入って来たぞ」


俺はギルマスの言う通り、置いてあった観葉植物の後ろに隠れた。


遠目で見たリヒトの連れている奴隷の姿は……まさに化け物だった。


しかも仲良さそうに笑いながら手を繋いで、それこそ宝物でも扱うかの様に寄り添っている。


『嘘だーーーっ』


俺は…なんて事をしてしまったんだ…


壊れている…本当に壊れている。


あれは本当に化け物だ。


こんな事になるなんて…


「これで解かったろう! リヒトは狂っているんだ。何時もあの醜いカナという奴隷を喜びながら連れ歩いているんだぜ。完全に壊れているよな……あれ程のイケメンの相手があの化け物なんて!だがよう......凄く幸せそうだろう? それにあれはまだ真面な方の奴隷で、もう一人は『ゴブリンガール』と言われた見世物ようの奴隷で真面に歩けねークズ奴隷だ。 そいつも連れて歩く時はおんぶしてニヤニヤしながら歩いているんだぜ! 男として凄く可愛そうだと思わないか? だからもう構わないでやってくれ、頼むこの通りだ!」


なんでギルマスが頭下げるんだよ。


だが……あれはもう俺が知っているリヒトじゃない。



俺は本当に幼馴染を壊してしまったのか?


俺はその場でへたりこみ立てなくなった。


「ごめんな……」


幾ら謝っても…もう遅いのかも知れない。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る