Endまで
星るるめ
Endまで
薄いガラス越しに
悲しみを抱えて泣き叫ぶ人を見た
無数の魂は声もなく散ってゆく
いつか滴った残酷は
時を超えても
変わらず残酷のままなのだ
命にまつわるあらゆる感情が
どっと僕に流れ込んだ
取り巻く状況が違うからと
軽視してきたものの姿が
ぼんやりと浮かび上がる
もっともっと 思い出して
染み込ませ そして刻みこめ
今ここにあるもの全てが
明日も変わらず存在する保証など
どこにもないってこと
そんな当たり前のことを
カタストロフも知らない人間が
語ろうだなんて
薄っぺらい偽善だと決め込み
眩しすぎると避けて
遠く冷めた目で見つめてきた
けれど
本当はどうだろう
今ここに存在している奇跡は尊い
生きていることは尊いことだ
いろんな正義と価値観に揉まれ
僕らはすぐに忘れてしまうけれど
それは紛うことなき真実で
なにも間違いではいない
そうだとしたところで
生きることは楽ではない
生きることは美しくない
それはなんとも辛いことだ
理不尽を知ることだ
不条理に打ちのめされることだ
澱みと向き合うことだ
心を切り刻まれることだ
うす汚れることだ
諦めることだ
そして自分を殺すことだ
この星の一体何割の人が
毎日心から笑って生きているだろう
それでも
生まれてしまったら
いつ来るかわからない
終わりに向かってただ進むしか
僕らには正しい道がない
世界は時にとても冷ややかで
何ために生きるのか
その答えすらも教えてはくれない
けれど
意味など求める前に
消えてゆくものがある無情を
僕らは少なからず知っている
それならば
そうだとするならば
込み上げた気持ちを
隠す必要なんてなくて
誰に何を言われようとも
感じるままに
僕は僕を 君は君を
それぞれのENDまで
やり遂げればきっとそれでいい
そう信じて僕ら
今日もただひたすらに
生きてゆくしかないのだから
Endまで 星るるめ @meru0369ymyr
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