死にたがり

夜歌

第1話


玲奈(れな)は15歳の少女。

中学3年生。

受験だ。

だが玲奈はだいぶ病んでる女の子なのだ。

その原因は冬人(ふゆと)という男の子が去年事故で亡くなったからだ。

冬人は旅行中に交通事故に巻き込まれ亡くなった。

冬人と玲奈は親友だった。

冬人が玲奈にとって大切な人だったのだ。

唯一玲奈の気持ちをわかってくれる人が冬人だった。

だから、なんでも言えた。

だが、その冬人はもういない。

玲奈にとってそれは救いようがないくらいの絶望を与えるには充分すぎるくらいだった。


12月10日の23時14分

場所は玲奈の部屋。

タンスとベッドと机が置いてあるだけの部屋。

すべて木製で統一されている。

(死にたい)玲奈は思った。

(もう何回目だろう…考えても行動に移せない。

移すのが怖い。

…この地獄がいつまで続くの?

もうつらい)玲奈はそう毎日思う。

と、そのときドアの方からノック音がした。

コンコン

「玲奈、入ってもいいか?」と言ったのは男の声だった。

「お父さん、いいよ」と言う玲奈。

声の正体は玲奈のお父さんの翔斗(しょうと)だった。

ガチャバタン

ドアを開いて速攻入り翔斗はドアを閉める。

ガチャ

と、鍵を閉める音が響く。

(また、始まるのか。)と思う玲奈。

玲奈は、実のお父さんから性的虐待を受けている。

そして…始まる。

(…地獄だ。やっぱり世界は残酷。)と思う玲奈。


1時間後

「ありがとな。玲奈

お父さんは玲奈の味方だよ」と言う翔斗。

「はい。ありがとうございます」と言う玲奈は凄く冷淡だった。

ガチャバタン

と、お父さんは玲奈の部屋を出ていく。

(…なんで生きてるんだろ…

私は生きてちゃだめなのに)と思う玲奈。

そして、玲奈はベランダに出る。

ここはマンションの20階。

(落ちれば死ねるかな…)と思う玲奈。

冬のベランダは寒い。

玲奈は薄手の長袖のTシャツに半ズボンだ。

(…まだ…死ねない…死ぬ勇気なんてない。)と諦める玲奈。

(…寝よう)そう思い部屋に戻りベッドに入る。


次の日

5時半。

(…起きなきゃ)と思い玲奈は起き上がる。

そして、部屋から出てキッチンに行く。

キッチンは部屋から出て右に行き廊下を歩いて突き当りの扉を開けるとある。

リビングと併用のキッチンだ。

(今日は食パンとサラダとコーヒーにしよう。)と準備を始める玲奈。

玲奈は家事を担当している。

少しでもミスると母親からの暴力。

だからミスをしないように頑張ってこなす。

食パンをトースターにいれ、2分半に設定する。

(2枚ずつしか、焼けないの不便だな。)と思いながらきゅうりを切りレタスをちぎってお皿に入れ、そしてお父さんにはマヨネーズのサラダにし、お母さんの分をごまドレッシングにし、妹の蓮菜(れんな)の分をシーザードレッシングで味付けする。

もちろん玲奈の分は作っていない。

玲奈は朝は食べてはいけないからだ。

そして、そうしてる間に食パンが焼け、トースターからお皿に移す。

そしてもう1枚焼くために玲奈はトースターに食パンを1枚入れる。

そしてその間にコーヒーと紅茶を入れる。

お母さんと蓮菜はコーヒー。

お父さんは紅茶を入れる。

お母さんは分は砂糖は入れずに牛乳だけ入れる。

蓮菜の分は砂糖は入れて牛乳は入れない。

お父さんの紅茶は砂糖と牛乳両方入れる。

蓮菜とお父さんの分は砂糖たっぷり入れなきゃ文句を言われる。

そして紅茶とコーヒーが出来上がったタイミングでトースターが鳴り食パンが焼けた。

トーストに塗るマーガリンとバター餡を机に置いておく。

そして、目玉焼きとウインナーも焼いて置いたからそれもお皿に移し机に置く。

お箸と箸置きを机に置いたところでお母さんと蓮菜が起きてきた。

現在時刻7時00分。

「おはようございます」と玲奈は挨拶する。

「話しかけんな」と蓮菜に言われる。

「ちゃんとご飯用意してくれたんや」と言うお母さん。

(…今日は怒られなさそう。)と思う玲奈。

「今日はお米の気分だったんだけど」と言う蓮菜。

「ごめんなさい。」と謝る玲奈。

「はぁ…もう食べる気失せた。

朝ご飯いらない」と言う蓮菜。

「わかりました。」と言う玲奈。

(…蓮菜はわかんないんだよね。

パンを食べるときもあるしお米を食べるときも…あるから…)と思う玲奈。

「準備してくる」と言う蓮菜。

「わかったわ。送っていこうか?」と蓮菜に聞くお母さん。

「まじで!?送ってくれるの?!」と言う蓮菜は明るく返事をする。

「えぇ、いいわよ」とお母さんは優しく言う。

(蓮菜には優しいんだよね…)と思う玲奈。


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