第10話 お気に入りの服

優の目が複雑そう。

悪いと思いつつも興味に勝てない。

「お客さんで」

「あ、それならいいですよ」

「じゃあ、着替える」

「あ、その前に……」


優が仕事場に電話している間に、僕もシャワーを浴びて、服を着替える。

真夏だし喫茶店だし、ラフな格好でいいだろう。

「え……」

玄関の外で待っていた優は、ドアからちょこんと顔を出した僕を見て、笑顔になる。

でも、玄関の外に出て鍵をしめている僕が、水色と白のストライプ柄のTシャツにジーンズ姿になっているのを見て、ポカーンとなる。

「え、ダサい?」

喫茶店に、そんなにかしこまっていくものだとは思わず、どうしよう、と悩み出す。

「……目隠しカフェなので、なるべく長袖の方がいいです」

「え? なんで?」

でも確かに、優はスーツで行くんだし、もう少し違った格好の方がいいのかもしれない。

「肌に触れるからです」

僕は喫茶店で肌に触れるという意味がわからず、思考停止する。

「マッサージでもあるの?」

「ですね」

目隠しされてマッサージを受ける自分を想像して、ふと首を傾げる。

不思議ではあったけど、怪しさより興味が増した。

「あ、じゃあ同じデザインの長袖でもいい?」

「ほんとストライプ好きですね」

「うん!」

「いいですよ」

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