目隠しカフェ

零ゼロ

第1話 目隠し

初めて見るものは全て脅威だ。


ドアは開いているのに中に入れないでいると、背中を押されて、前によろめき、ぎこちなく歩き出す。

僕は不安でいっぱいになりながら周りを見まわす。

見慣れない機器と薬品の匂い。


「緊張しますか?」


ふり返った僕に、幼馴染の優が、いつもより大人びた声で問いかけてくる。

(優の白衣姿、初めて見た……。眼鏡もいつもはしてないよね)

たったそれだけで、まるで知らない相手のようだ。

いつもの優が想像できない。


(なんで、こんなに不安なんだろう……。来る前は、あんなに楽しみだったのに)


「大丈夫ですよ、実。目の前の白い椅子、ふかふかなので沈みますが、気をつけながら座ってください」

「あ……、うん」

言われるまま、僕は高級マッサージ機みたいな白い椅子に腰かける。


「じゃあ目隠ししますね」

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