第35話思い出シリーズ1
これから、数話、思い出の食事、飲酒の話しを書いていこうと思います。
思い出は20歳の頃の話し。
夜、彼女とテレビを観ていたら携帯電話が鳴る。
その頃僕は大学を中退して、就職活動をしながらガードマンのバイトをしていた。
電話に出てみると、母方の親戚の叔父さんからだった。
「今、◯◯店にいるから、ハヅル君飲みに来なさい」
と。
彼女は恥ずかしがり屋なので、僕だけ店に向かった。
そこには、市役所職員の叔父さんと県庁に出向しているシンちゃんだった。
今から、25年前の話しだから、叔父さんが60歳、シンちゃんが35歳だったはず。
焼き鳥屋さんだった。
「先ずは、駆け付け3杯」
と、叔父さんが言ってビールを飲ませてくれた。
母方の親類は酒が入ると楽しい人ばかり。
あの時の焼き鳥は忘れもしないが、焼き鳥はタレだと思い込んでいた歳頃。
塩であっさりした焼き鳥はとても美味しかった。
散々飲んで、終わりかな?と思ったら叔父さんが日本酒をシンちゃんと僕に勧めながら3人で飲んだ。
僕は短い大学生時代、散々飲んで酒豪と言われていたが、叔父さんとシンちゃんは飲んでも飲んでも面白くはなるが、カッコいい酔っぱらい方をする。
そして、その店はお開きとなった。
叔父さんが全額支払っていた。
3人で道を歩いていると、叔父さんが、
「ちった、腹が空かんや?シンちゃん」
「そうですね」
「じゃれば、そこんラーメン屋に行っがほいっ!」
と、3人でラーメン屋の暖簾を潜った。
先ずは、叔父さんが瓶ビールを注文した。
僕は、ホントの大人は物凄く飲んで、そしてどんなに酔っ払っても人に迷惑を掛けることはしないんだな?と強く感じたモノだった。
僕はビールを一杯だけ飲んで、ラーメンを食べた。
餃子は皆んな食べ残し、叔父さんが持ち帰りの袋に入れて帰った。
僕は丁重に挨拶を言って、帰宅した。
シンちゃんが
「今日は遅いからタクシーで帰りなさい」
と、言ってお金を渡してくれた。
この飲み会以降、僕は酒の勉強をした。若い時は失敗もあったが、もう、45歳。あの時のシンちゃんより年上だ。
立派な大人になっただろうか?
この人たちに近付きたいと思いながら、呑んで来た。
お陰さまで、飲み友達は多い。
叔父さんはもう、90歳が近いが現役で焼酎を飲んでいらっしゃる。
数年前、帰郷して会ったときは、市役所の会合の帰りに焼酎を飲んで酔っぱらい、転んだ!アハハハ。と言って顔は絆創膏だらけ。
シンちゃんは、去年だったか市役所を定年退職されて、今も活動されている。
この若かりし頃の、1回の飲み会が僕の人生を変えた。
僕は普段は無口だが、飲み仲間に、
「もう少し、エンジンが暖まらないと、小芝居出来ないから」
と、言ってビールをたらふく飲み、面白い事を言う。
別に酔わなくても、面白い人と言われるのだが。
酒の飲み方で人間の素性が分かりますよね。
今日、酒の話しを書いたから飲みたくなって来たな。
さて、どこで飲もうか?
ま、今夜はゆっくり家でご飯を食べよう。
あの、焼き鳥は美味かった!
忘れられない味で、焼き鳥の塩を身内で食べる時は、必ずこのエピソードを話すのが慣例となっている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます