ひとつのひかり

にんじん@ayaas

第1話

「付き合ってください」


「ごめんなさい」


そういって断った私、中堀みつり。

私は"ありえないほどモテる"


私の顔はそこまでよくない。でも、モテる。


だから今日も"嫌われる"

でも"好かれる"


今回告白されたのはたくま。私的には顔はよく、性格もいいと思ってるが、友達からの評判がとてもがつくほど悪い。


今日はあともうひとつ行かないと行けない場所がある。それは、たくまの兄。ゆうま。


「中野先輩」


「ああ、みつり。来てくれたんだね」


こんなふうにおっとり系。癒し系というわけだ。


「今日はみつりに話したいことがあって。好き。付き合って欲しい」


「先輩、今年受験生ですよね?私と付き合ってて大丈夫なんですか?」


「うん。俺、彼女いないとダメなの。やる気出ないの」


「そうなんですか。でも、ごめんなさい。」


「そうか...わかった」


「先輩のことが好きな子がいるんです。今度、紹介してもいいですか?」


「うん。大丈夫だよ」




「俺でも、俺の弟でも無理だったか。やっぱり手に入れたいな」



ある日のこと、それは確か火曜日。7/31。


部活終わりにぼっちで帰っていた時のこと。


どーん。


あっ。だれか引かれたな。そちらの方に行くと、たくまが倒れていた。誰にも相手にされていない。


「大丈夫?」


「う...うん」


「大丈夫じゃないでしょ」


「お兄さんは?友達は?」


「ゆうまはまだ学校。友達は喧嘩した」


そう言ってうつむく。


「そうなの」


「いってえ!」


少し足に力を入れたら激痛が走ったらしい。


「たくま、学校行こう。学校まで歩ける?」


「無理そう。ごめん」


「あっ、ねえ。学校の先生呼んできてくれない?」


私は近くを通る小柄な頭の良さそうな子に声をかけた。


「う、うん」


「この前俺の事ふったばっかりなのになんで助けるの」


「けが人がいるから」


「帰る人探せばよかったじゃん。なんで、1人で帰ろうとするの」


「とおる...」


「え?」


「とおるを誘ったよ。でも、とおるは喧嘩したこうき側だった」


ちくしょうとでも言うように道路を殴った。


「とおるたちはまだ帰ってないの?」


「多分まだ学校」


「そっか」


「多分さこうきはみつりのことが好きなんだと思う」


「なんでそう思の」


「俺さみつりに告白したじゃん。避けられるようになったのはその後」


「...」


「ごめん。黙らすつもりじゃなかった」


安心して。そう聞こえた気がした。


「先生来てくれたよ」


「はあ、はあ、連れてきましたよ」


「ありがとうございます。帰ってる途中なのにごめんなさい」


「い、いえ、私も助けたいと思っていましたし。少しでも貢献出来て嬉しいです」


「中堀さん。中野さんの様態を説明していただけませんか?」


「はい。私は見てないのでなんとも言えないですが、ここの道を曲がったところで仰向けになっていた中野さんを助けました。けがは数箇所あって、その時にぱっと見るとあまり傷が目立たない様な感じでした」


「ありがとうございます」


「保健室に行きたいのですが、立てますか?立てないのであれば支えますが...」


「立てなさそうです」


「私支えます。先生は自転車を持って行って貰えませんか?」


「えっ」


「わかりました。中堀さんに任せます」


「本当にいいの?俺背が高いから重いと思うよ」


「痩せてるし大丈夫でしょ。がんばる」


「ははっ。ありがとう」


保健室に向かっている途中、私が最も恐れていた事がおこった。


「えっ、たくま、みつりに担がれてんじゃん。うける」


「本当だ。ふふっ。面白い」


「もう!!こうき!とおる!そんなこと言わないの!たくまは怪我してるの!」


むーっとなる私にこうきととおるはさらにからかってくる。


「だって面白いんだもーん。俺も怪我したら担いでくれるの?」


「何言ってんの。重体だったら担いであげるけど、それ以外は担ぎません!」


「みつり。いいから行こう」


「ああ、みつりを独り占めしたいんだなあ!」


「こうき!!」


「うけるー!!」


こうきととおるは用が済んだのか、あんな言葉を吐き捨て帰って行った。


「もおおお!!イラつく!!」


「ねえ、なんでそんなに怒ってくれるの」


「私が嫌だから」


「そっか。ありがとね」


「ふううううううう。保健室着いたよ」


「やっとだあ!意外と長いよね」


「先生は回ってこないと行けないから、時間かかるよ。私のも運んでるし」


「そうなんだ」


「そういえば中野先輩は?」


「あっそういえば見かけてないね」


「見てないうちに帰ったのかな」


「そうかもね」


「ねえ、またこうやって話したい」


「うん。私も話してて楽しかったなあ」


「そういえばさ、国語の宿題に読書感想文とか小説を書く宿題あったよね。それ何にするつもり?」


「どうしようかなって悩んでる。みつりは何にする?」


「わたしは小説かな」


「へえ、ちょっと以外かも」


「私さ、影響されやすいタイプなの。友達に勧められたら、検索かけるし。流行ってることには動画見るし。って感じで影響されやすいの」


「俺も」


「そうなんだ。でさ、現実の推し。めぐるに、小説このアプリでかけるよって教えて貰ったの。すごいよ。色んなことをうったらかけて、色んな人に見てもらえて、コメント貰えて、たのいしいってなったの」


「そこからかき始めたの?」


「そう。だから今ではすごい人ってことで、めぐるのこと推してる」


「そっか。はまることがあるっていいよね」


「ねえ。私もめぐるで元気をもらってる。だから、たくまも仲がいいあきらから元気もらって。」


「え?う、うん」


「あきら。面白いよね。本心を見たらハマるよ」


「ハマる...」


「1回見てほしいそのためにはコミュ力を使って頑張って!」


「...みつりってさ、可愛いだけじゃなくて応援する力もあるよね」


「ありがと。私はそのコミュ力が欲しいけどね」


「もうそろそろ先生来るんじゃない?」


「確かに、もうそろそろ帰ろうかな」


「私の自転車置いてあるし」


「うん、先生には言っとく」


「ばいばい」


「ばいばい」


そういって私は校門を清々しい気持ちで出た。





悩みがある時は相談してね。

近くの仲良い子に相談しよう。



一巻だけの物語でした。

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