君の吐瀉物を食べたい

Rakuha

君の吐瀉物を食べたい

 僕は君が好きだ。とても優しいし、綺麗だし、誰よりも美しい心を持っている。

 だが、その美しさ故か、君は僕以外の周りの人からは嫌われ者になっていた。

 君はいつも独りだった。でも、君は独りの苦しさにも屈せずに日々を力強く生きている。その気高き美しさに毎日惹かれる。それはもう狂うほどに。

 ある日、道を歩いていると君がいた。僕はたまたま逢えたことがとても嬉しくて一人で心の中で舞い上がっていた。

 けど、様子がおかしいことに気づいた。何だかフラフラとしている。そしてとうとう蹲ってしまった。嗚咽をし、君の口から吐瀉物が道にビチャビチャと落ちる。君は泣きながらも吐き続ける。周りの人は誰も助けない。不快な目を君に投げつける。

 僕は吐き終えた君に駆け寄って、そっと抱き締める。

 君は「なんで」と声を漏らす。

 当たり前じゃないか。

 僕はいつでも君を見ている。それに君のことが大好きなんだ。こうなった時誰よりも君を助けたいから僕は敢えて君を独りにさせた。

 やっと君に触れることが出来た。君は震えながら僕の体を押し返すが吐いたあとで弱い力でしか押し返せていない。

 今度こそ僕のことを好きになってもらうんだ。きっと僕は恍惚とした表情をしているのだろう。

 ああ。

 君の吐瀉物を食べたい。

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君の吐瀉物を食べたい Rakuha @Agaki

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