第37話 笑顔がぎこちない理由
ここは秀吉の家。
秀吉「おれ、関白っていうのになったさ」
兵士「関白ぅ!?」
秀吉「うん。さっき朝廷の人にいわれて」
兵士「征夷大将軍じゃないんですか?」
秀吉「なんか、違うみたい」
兵士「やばいですね」
秀吉「いや、なんでもなれるもんなっといたらいいんでないの?」
兵士「だって征夷大将軍にならないと、北条家の息子さんにボコボコにされるんですよね?」
秀吉「あっ。そうだった!」
兵士「ピンチですね」
秀吉「ピンチだよ。あ、でもさ、よく漫画とか映画だったら、こういうとき都合よくピンチの脱出方法をキラリ~ンって思いつくよね」
兵士「そうですね」
秀吉「……」
兵士「……」
秀吉「どう? 思いついた?」
兵士「いや、思いつきません」
秀吉「……」
兵士「……」
秀吉「まだ?」
兵士「なんで僕待ちなんですか」
秀吉「だってぇ」
兵士「自分でも考えてくださいよ」
秀吉「じゃあさ、法律つくっちゃうか」
兵士「法律?」
秀吉「ケンカしちゃいけませ~ん、っていう法律」
こうして…
私戦や紛争を禁じる惣無事令(そうぶじれい)が、秀吉によって定められた。
これは、戦国時代の終わりを宣言するものだった。
ここは関東。北条家のようす。
北条家の父「息子よ」
北条家の子「なんですか、お父さん」
北条家の父「ニュース見た?」
北条家の子「はい」
北条家の父「惣無事令っていうのが定められたらしいね」
北条家の子「ですね」
北条家の父「あれって、ケンカしちゃダメですぅ、っていう法律なんでしょ?」
北条家の子「はい」
北条家の父「じゃあ要するにあれだ、戦国時代はもう終了~ってことだ」
北条家の子「秀吉はそうしたいみたいですね」
北条家の父「これからは平和を楽しもうじゃないか、息子よ」(笑顔)
北条家の子「笑顔がぎこちないですよ」
北条家の父 (´Д`;)え
北条家の子「すいません。傷つきました?」
北条家の父「最近疲れてるからね。それでぎこちないのかも」
北条家の子「いや、昔からです」
北条家の父「そうか…」
北条家の子「自分では気づいてなかったんですね」
北条家の父「自然なつもりだったけど…」
北条家の子「お父さんはまわりに気を遣いすぎなんですよ」
北条家の父「そんなことないよ」
北条家の子「だって北条家のまわりには昔から強い戦国武将がウヨウヨいたじゃないですか」
北条家の父「う、うん」
北条家の子「武田信玄、上杉謙信、今川義元…」
北条家の父「そうだね」
北条家の子「そういう人たちにビクビクしてるうちに、笑顔もぎこちなくなっちゃったんですよ」
北条家の父「ハッキリいうね~」
北条家の子「だから僕は秀吉にケンカを売るんです」
北条家の父「は?」
北条家の子「僕は秀吉を倒して、お父さんを天下一の大名にしてあげます」
北条家の父「おぉ…」
北条家の子「そしたらもう誰にもビクビクしなくていいですよ」
北条家の父「そ、そうだけど」
北条家の子「それが僕の夢です。育ててくれた恩返し」
北条家の父「その気持ちは…ありがたいよ」(笑顔)
北条家の子「また、ぎこちないですよ」
北条家の父「ちょっと出掛けてくる」
北条家の子「どこに行くんですか?」
北条家の父「ん。ちょっとね」
北条家の子「早く帰ってきてくださいね」
北条家の父「うん」
北条家の子「帰ったら、プレゼント用意しておきますから」
北条家の父「プレゼント?」
北条家の子「はい。楽しみにしててください」
北条家の父「わかった」
北条家の子「いってらっしゃ~い♪」
北条家の父「いってきま~す」
父子は別れた。
ふたりが再び生きて会うことはなかった。
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