第12話 秀吉、城主になる

織田信長は報道陣に取り囲まれた。


記者「信長さん、ひとこと、ひとことお願いします」


信長「どいてください。通してください」


記者「将軍追放について批判が集まっていますが、ひとこと」


信長「あとで事務所からコメントしますから。通してください」


記者「将軍を追放するという暴挙に出た真意は?」


信長「ていうか、あれ、おれの仕業じゃないんで」


記者「じゃあ、誰の?」


信長「サルです、サル」


記者「実行犯は秀吉なんですか!?」


信長「おれは事後承諾しただけだから」




そのころ。


信長の義弟は…


義弟「お兄ちゃん、おれのこと怒ってるかな?」


部下「第9話で裏切っちゃいましたからね」


義弟「だよね」


部下「あの人、キレたら何するかわかりませんもんねぇ」


義弟「つい先日も、将軍様を追放しちゃったんでしょ?」


部下「あ、そのことですけど、将軍様を追放したのは、秀吉らしいですよ」


義弟「え、そうなの?」


部下「信長さんは事後承諾しただけって、ネットニュースに書いてました」


義弟「秀吉って男もいかれてるね」


部下「天下の将軍様を追放するなんて、信長さん以上のブチキレ野郎ですよ」


義弟「本当に怖いのは秀吉だね」


部下「はい」




一方、信長のようすは…。


信長「もー、サルぅ」


秀吉「はい」


信長「サルのせいでおれ、炎上してるしょー」


秀吉「す、すいません」


信長「早く将軍様、連れ戻して来てやー」


秀吉「はい、探してみます」




と、言ったはいいが……




秀吉「将軍様、どこにいるんだろう」


兵士「心当たり、ないんですか?」


秀吉「ぜんぜん」


兵士「とりあえず近場からあたってみますか」


秀吉「近場って?」


兵士「一番近いのは、信長さんの義弟のうちですね」


秀吉「それって第9話で裏切った人でしょ?」


兵士「はい」


秀吉「てことは、今、敵でしょ?」


兵士「だからこそ、将軍様が逃げ込んでる可能性があるんじゃないですか」


秀吉「でも、敵のところに行くのって緊張するなぁ」


兵士「使者として行けば大丈夫ですよ。さっそく今夜にでも」




その夜。

ここは信長の義弟の城。

玄関のチャイムが鳴った。


ピンポーン


義弟「ん。今、ピンポン鳴んなかった?」


部下「鳴りましたね」


義弟「インターホン、出てみて」


部下「はい。……うわっ!」


義弟「どうした?」


部下「秀吉が来てます」


義弟「えっ」


部下「秀吉が兵士をつれてやってきました」


義弟「攻めてきたってこと? どうしよう!」


部下「秀吉は信長さん以上のブチキレ野郎ですからね。ここは逆らわないほうが無難です」


義弟「だね。賛成。開城して降伏しよう!」


部下「はい。すぐに城を明け渡します」




驚いたのは秀吉だった。




秀吉「いきなり降伏された!」


兵士「どういうつもりでしょう」


秀吉「きょう最初の訪問者に降伏するって決めてたのかな?」


兵士「ぶっとんだ遊び心ですね」


秀吉「ま、とりあえず。城を占拠しとくか」


兵士「はい」




西暦1573年8月28日。


秀吉は、浅井長政(信長の義弟)の城を占拠した。


こうして浅井長政は敗北した。




翌日。


信長「サル。ゆうべ、裏切り者の義弟をやっつけてくれたんだって?」


秀吉「ええ、まあ、流れで」


信長「じゃあねぇ、ご褒美あげる」


秀吉「なんすか?」


信長「義弟の支配してた領土をあげる」


秀吉「マジっすか!」




秀吉は浅井長政の旧領(伊香・東浅井・坂田)を与えられ、長浜城を居城とした。


貧しい農民から身を起こした秀吉がついに12万石の領主となった。

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