豊臣秀吉~歴史が苦手でもスラスラ読める伝記~

あーりー

第1話 武士になりたい!

戦国時代の日本。

愛知県に貧しい農民の子がいた。


名前は秀吉。


彼が秀吉と名乗るのは本当はずっと後のことだが、

呼び名がコロコロ変わるとややこしいので、もう秀吉。




秀吉「ねぇ。友達くん。おっきくなったら、何になりたい?」


友達「何っていうか、おれら、農民でしょ」


秀吉「そうだけどさ」


友達「農民の子は農民にしかなれないんだよ」


秀吉「でもおれ、体ちっちゃいしょ」


友達「小柄だね」


秀吉「だから力仕事、向いてないんだよね」


友達「で?」


秀吉「で、農民ちょっとキツイなぁと思って」


友達「じゃ、何になるんさ?」


秀吉「今狙ってるのがね、教祖」


友達「教祖?」


秀吉「自分で宗教つくっちゃうの。どお? いくない?」


友達「そんなんで喰っていける?」


秀吉「適当に信者集めて、あることないこといってれば金入ってくるしょ。楽勝」


友達「いつか炎上するね」


秀吉「でも、いきなりオリジナルの宗教ひらくのは無理があるから、まずはどっかのお寺に入門して、それから頃合を見て独立開業しようと思ってるの」


友達「きみがお寺に入ったら、しばらく会えなくなるね」


秀吉「5年、いや10年は会えないかも。元気でね」


友達「寂しくなるけど、頑張って」


秀吉は8歳のとき、『光明寺』に入り僧侶を目指した。




しかし、ほどなくして……




秀吉「やぁ」


友達「あれ? お寺に入ったんじゃなかったの?」


秀吉「脱走してきた」


友達「なんで!?」


秀吉「だって、足しびれるんだもん」


友達「それで挫折したの?」


秀吉「うん」


秀吉は長続きせず、すぐに寺を飛び出した。


友達「これからどうするの?」


秀吉「やっぱねぇ、これからの時代はビジネスだよ」


友達「ビジネス?」


秀吉「おれ、世界をまたにかけるビッグビジネスで大富豪になる!」


友達「でもいきなりビッグビジネスは無理でしょ」


秀吉「まずは下積み」


友達「下積みって?」


秀吉「金銭感覚を磨くために行商の旅に出る」


友達「なに売るの?」


秀吉「針。針は今、貴重品だから高く売れるよ」


友達「きみが旅に出たら、しばらく会えなくなるね」


秀吉「5年、いや10年は会えないかも。元気でね」


友達「寂しくなるけど、頑張って」


秀吉は15歳のとき、たったひとりで針売りの旅に出た。




しかし、ほどなくして……




秀吉「やぁ」


友達「あれ? 旅に出たんじゃなかったの?」


秀吉「ギブアップした」


友達「なんで!?」


秀吉「だってお金の計算、難しいんだもん」


友達「それで挫折したの?」


秀吉「うん」


友達「これからどうするの?」


秀吉「やっぱねぇ、これからの時代は武士だよ」


友達「武士? 武士を目指すの?」


秀吉「うん」


友達「農民の子供が武士になるなんて、無理だよ」


秀吉「なんとかなるって」


友達「ならんよ」


秀吉「だって武士ってさ、楽な職業だよ」


友達「なんで?」


秀吉「そちもワルよのぉ、って言ってれば、大金ガポガポでしょ」


友達「そうかなぁ」


秀吉「決めた。武士に、おれはなる!」


西暦1551年。

秀吉は武士になることを決めた。




つづく

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