現場の朝

 あさすでに、いち時間じかんも‥‥ぬほどじらいつづける全裸ぜんらのライカに、死ぬほどあやまり続ける全裸のおとこたちという、日常にちじょうてき状況じょうきょうが続いています。



 やがて、ライカは、男たちの罪悪ざいあくかんからのなみだを、目前もくぜんにして‥‥『勇者ゆうしゃとしての本能ほんのう』が目覚めざめます。


てせざるは‥‥勇者にあらず!)


 そこで、ライカは、勇気ゆうきたかぶらせて、節介せっかいにも‥‥男たちを、救済きゅうさいするために、ある提案ていあんをします。


みなさん、わたしと、雑談ざつだんしませんか?

 それも、おたがはだかで!」


 ライカは、はげしく赤面せきめんしながらも、そう提案しました。もっとも、お互い裸というのは、落胆らくたんった『男たちの活力かつりょく』を刺激しげきするためです。

 しかし、男たちは、困惑こんわくしています。そのため、ライカは、全裸のままで、ひたすら、自己じこ紹介しょうかいをしました。


 午前ごぜん30ぷん‥‥ようやく、男たちの罪悪感が、やわらぎます。それから、午後8時30分まで、全裸の『ライカと男たち』は、けて雑談をしました。

 そして、ライカが、救済きゅうさい仕上しあげに、あらたなる御節介をします。


「わたしが、ここで、はたらいてもいよね?」


 男たちは、御節介を、歓迎かんげいしてくれました。

 こうして、ライカは、建設けんせつ現場げんばで、働くことになりました。



#建設現場では――


 ライカは、勇者なので、資材しざい運搬うんぱん高所こうしょ作業さぎょうも、なんなくこなします。これには、男(作業さぎょういん)たちが、感心かんしんしていました。

 しかも、無粋ぶすいな現場が、ほのかな色香いろかで、はなやいでいます。


 それと、なにより、ライカと作業員(男)たちに、仲間なかま意識いしき芽生めばえました。

 これで、作業員(仲間)たちが、なおるまで、あと一歩いっぽです。



仕事しごとあがり、酒場さかばいどれマンボウ』では――


 仲間たちのおごりで、ライカは、夕食ゆうしょくです。

 無論むろん、働いたあとなので、さけすすみました。



翌朝よくあさ、建設現場の仮設かせつ宿舎しゅくしゃでは――


 またも、ライカは、いたましくも、裸足はだし全裸ぜんら昏睡こんすいしています。

 ところが、ライカも仲間たちも、仕事あがりに、シャワーをびていなかったこともあり‥‥ライカの生肌なまはだは、自身じしんと仲間の『あせやらよごれとか』でヌルヌルしていて、あたりに卑猥ひわいしゅうまでもがただよっています。


 現場監督が、ライカの下腹部かふくぶれて、おそる恐る鑑定かんていすると‥‥新たな精子せいし『14にん35はつぶんが、元気げんきおよいでいました。



 やがて‥‥目覚めざめた、ライカは、生肌全体ぜんたいの『汚れやにおい』を、激しく恥じらい、仮設宿舎のシャワーしつに、裸足全裸のままはしってきます。


 けれども、ここには、ハンドシャワーもビデもいので‥‥ライカの股間こかんから『生殖セックス痕跡こんせき』をあらながすには、それなりの苦労くろう必要ひつようでした。それでも、ライカは、自分じぶんを恥じらいながらも、必死ひっしになって、股間を内側うちがわまで洗浄せんじょうしています。


「あれ‥‥?」


 股間を、洗っている途中とちゅうで、ライカは、おもわず、みじめに落涙らくるいしていました。みずしたた後姿うしろすがたからは、せつない色香が漂っています。



 それでも、ライカは、義理ぎりがたく‥‥このも、建設現場で働きました。

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