転生TS宇宙飛行士、もう一度宇宙(そら)をめざす!

しゃなぎ

1章 転生、黒翼幼女爆誕

プロローグ とある宇宙飛行士の最期


・・・もう、終わりか。


ポッドの中、一人宇宙空間を漂う。太陽系を超え、ともに宇宙の果てを目指した宇宙船は小惑星との衝突によってとっくの昔にスペースデプリとなった。無駄な足掻きだとわかっていても必死に宇宙船から脱出したが、結局は一日もせずに終わりが近づいて来ている。

思えばここまで長い道のりだった。


俺は物心ついたときからすでに宇宙に憧れていた。果てのない空、美しい星、そして何かがいるのではないか、まだ誰も知らない何かがあるのではないかというロマン。

星も見えない家から離れ、山の山頂から満天の星空をみたとき、俺は宇宙飛行士になることを決めた。


必死に勉強し、訓練に取り組んで、史上最年少で宇宙飛行士になった。


そして、某国で人類未踏の太陽系外への有人飛行を計画しているというのを聞き、すぐに志願した。この計画はもともと帰還することを考慮に入れておらず、周りからは自殺しに行くようなものだと必死に止められた。だが、俺は行くことを決めた。


終わりのない宇宙探索。星の海を泳ぎ、宇宙の謎を調べていく。その過程は自分にとっては心躍るものだったが、ほかに十人ほどいた船員にとっては違ったらしい。


異変は、太陽系を抜けたあたりで起こった。地球からの通信が不安定になり、それからしばらくして完全に途絶えた。このことはあらかじめ予期されていたが、実際に切れると不安になるようで、船員の殆どがひどく動揺していた。だが、それでもプロということで、しばらくするとデータを収集し、地球の方向へと発信するようになった。


それから、大体1年くらいは順調にいっていた。地球からは観測しきれなかった電磁波や未確認の惑星などを発見できた。だが、船員の一人が突然死んだ。原因はおそらくストレスによる自殺。彼は自分の次に若い宇宙飛行士だったが、それでもベテランだった。誰もが衝撃を受け、それから船内の雰囲気が暗くなっていった。


それからは早かった。二年目にはもう一人自殺し、一人が精神を病んだ。三年目には修理のために宇宙空間に出た一人がミスをして死んだ。彼は最もベテランの船長だった。それからもだんだんとリタイアする人が増え、四年目で小惑星をうまく回避できるだけの人員が足りなくなり、衝突して宇宙船が粉々になった。


そして船員たちが諦め、俺は最後の足掻きに脱出ポッドを使って生き延びた。




・・・意識が朦朧としてきたか。いまのは、走馬灯か?

終わりはあっけなく、結局宇宙については分からないことだらけだ。俺は誰にも知られずこのまま死ぬだろう。そのことに少し寂しさを感じ、人恋しくなるが、後悔はない。



・・・・・また意識が途切れたか。酸素が足りなくなってきているな。もう長くはないか。最後に、この景色を目に焼き付けておこう。あの日、少年時代の自分が見た夜空よりも美しく、広大で、果てのない宇宙。・・・ああ、きれいだ。



・・・・・・・・もう、意識が保てそうにないな。目の前がぐちゃぐちゃだ。


・・・?なにか・・・見える。ポッドの外に・・・なにか、黒い・・・・目玉?

これは・・幻覚か?あまりに存在感を感じない。だが、その目から好奇心のようなものを感じる。・・・ふふふ。


きっとこれは俺が最期は一人は嫌だと願ったことによる幻覚だろう。なんで目玉なのかは分からないが、まあ、いないよりはマシだろう。・・・なんだか可愛く見えてきた。・・ふふ。


「さようなら。」


そう言われた気がした。ああ、・・そうだな。もう、声も出せないが・・・最期に、


 さようなら。ありがとう。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・





不思議な存在だ。こんな宇宙空間に、まさか知的生命体が存在しているとは。

しかもその上、私を認識できるとは。死の間際の魂の曖昧さによるものか、それともこの者の特異性によるものか。面白い。

こんなところにいては、こやつの魂も拡散して消え去るのみだろう。私の世界へ・・いや、違うな。こやつの魂はあの惑星から・・・それならば、やつらの世界へと送り出してやろう。

・・・おや?この意志は・・・憧れか。死してなおこの宇宙へと憧れを抱くか。気に入った。私の加護をやるか。・・・性別が変わったが、大したことないであろう。



うむ、よし。それでは行ってくるがいい。そなたの新たな生に、幸多からんことを。





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