あの夏の日の君へ
菜月 夕
第1話
『あの夏の日の君へ』
あの夏休み、僕たちは出逢った。
そして夏休みの終わりに君は事故で亡くなった。あんなに約束したのに。
それから20年。僕はあの日の君を救う為にタイムマシンを開発して君の元へ旅立つ。
でも、このタイムトラベルにも欠点はある。時間を遡るのは未来に登る時の激流に逆らうようなもので、その反動で遡った分、未来に飛ばされる。
そして僕は君を救って君の眼の前からあの時点から40年後の未来に飛んで来た。
もう君はここでは60を過ぎて可愛いお婆さんになっているだろうか。
僕は出かけた時と変わらない研究室の扉を開けた。
「あら、遅かったわね。そんな顔をして。貴方を待っている間ここの研究は調べたわ。貴方に起こった時間の余剰分の反動は貴方に助けられて時間が変わった私に何も影響が無いと思った?
貴方が助けたあの時間から貴方が飛び立った20年前に飛ばされたのよ。
それから20年、こんなに待たせて責任取ってくれるよね」
あの夏の日の君へ 菜月 夕 @kaicho_oba
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