第7話:吉子、明智と蜜柑に見つかる。
ある日のことだった・・・蜜柑さんの隣の部屋の私立探偵の明智 六郎さんが
俺の部屋を訪ねてきた。
「井戸川さん・・・ちょっと」
俺はヤバいと思って吉子を押し入れに隠した。
「は、はい・・・あ、明智さん・・・なんでしょう?」
「単刀直入に言うけど、あんた女子連れ込んでるよね?」
「何言ってるんですか、なわけないでしょ?」
「私の職業知ってるよね・・・隠したって女子連れ込んでるの分かってるんだよ」
「・・・・もし、連れ込んでたらなんなんですか?」
「明智さんには関係ないでしょ?」
「管理人さんに黙ってて欲しい?井戸川さん」
「なにが言いたいんですか?」
「少しでいいんだけど、お金融通してくんない?」
「え?それって脅迫ですか?」
「とんでもない・・・取引ですよ・・・と・り・ひ・き」
「明智〜・・・なにセコいこと言ってんのよ」
「それに万平が女の子連れ込んでること知ってるの私のほうが先だからね」
「み、
「万平が彼女連れ込んでるの私、明智より先に知ってたから・・・」
「なんなんですか、ふたりとも・・・」
まったく油断も隙もない連中だよ。
「だって、万平の部屋から女の子の声がまる聞こえなんだもん」
「あんたエッチいDVDなんか見るから彼女ちゃんにイヤがられてたでしょ?」
「余計なこと聞かなくていいですよ」
「蜜柑さん・・・ちょっと黙っててくれます?私が井戸川さんに用が
あるんですから・・・」
明智さんがそう言った。
「そうはいかないわよ・・・私の可愛い彼氏、万平に彼女ができたなんて
見逃せないでしょ、許せないでしょ?」
「え?俺、いつ蜜柑さんの彼氏になったんですか?」
「そんなことはいいの・・・さ、見せないさいよ彼女」
「どうせ彼女を窮屈な押し入れなんかに閉じ込めてるんでしょ?」
「可哀想じゃん・・・出してやりなよ」
蜜柑さんにそう言われて俺は吉子を押し入れから出した。
吉子は大あくびをして背伸びした。
「へ〜この子?」
「どうも〜、
「まあ・・・可愛いじゃないの万平・・・あんたも隅におけないね〜」
「蜜柑さん、これにはいろいろ事情があって・・・」
「どんな理由があろうと女人を連れ込んだことには間違いないんだから」
明智さんがそう言った。
「あんまり万平を攻めたらかわいそうだよ、明智」
で、まあ蜜柑さんと明智さんが信じるかどうか分からないけど、吉子の
ことを俺は全部説明した。
「女人を連れ込んだ言い訳がそれか?」
「明智さんは信じないんですか?」
「私は現実主義じゃだからな、死神なんて信じねえよ」
「私はオカルトとかホラーとか好きだから万平の話信じてあげる」
「それにさ・・・吉子ちゃん可愛いし・・・」
「明智・・・おまえ人をユスる暇があるんなら雑貨屋のばあちゃんちの
行方不明になってる
「蜜柑さん・・・相変わらず口が悪いね」
「私は行方不明の猫探しなんか、そんなちんけなことしませんから・・・それじゃ」
そう言って明智さんは自分の部屋に引っ込んでいった。
「バーカ・・・この間、クラブの倉庫にスズメバチが巣を作ってたの
駆除しに来てたじゃん・・・探偵じゃなくて何でも屋の明智め」
「万平心配いらないからね、もし管理人に見つかったら吉子ちゃんは
私の妹ってことにしといてあげるから」
「蜜柑さん、助かります」
「いいのいいの・・・ところで、いくらか段取りしてくれない?」
「今、金欠なのよ、私」
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます