第45話
いつもより早めに登校した村人Aは
まだ誰も居ない教室で予習をしていた
昨夜、菜々と川辺で過ごして
家まで送ろうとしたが駄々をこね
菜々は僕の家についてきた
母は夜働いているので帰りは深夜になる
菜々は
「お邪魔します」
と礼儀正しく玄関を上がり
慣れた調子で僕の部屋に入り
僕の部屋着を勝手に着て寛いだ
幼い頃はこうしてよく
菜々とこの部屋で遊んだ
僕はあの頃のままだけど
菜々は大人になった
「じゃあ抱いてよ」
川辺で聞いた霞むような声を思い出した
僕と菜々はキスをしたり
抱き合ったりはするけれど
体の関係は無い
菜々に対する性的な気持ちが
僕には無いのだ
抱きしめる事もキスをする事も
菜々が求める時は
頭を撫でるようなスキンシップと思って
応えられる
だけど裸の菜々をどうにかするなんて
僕には出来ない
正しくは出来るけれどしたくない
菜々がそれを求めだしたのは
つい最近の事だ
その瞬間、僕の世界から音が消えた
次は視界が消え
菜々の眩しさで
僕は僕ではなくなってしまうだろう
葉月夜子は菜々から離れつつある
僕のベッドで本を読んで居た菜々は
気付けばすぅすぅと眠っていた
僕は電気を消して静かに部屋を出た
「おはよ」
野田がヌっと視界に現れ
僕は変な声が出た
「早いな、予習?」
「...まあそんなところ」
野田は自分の席に着くと
おもむろにメロンパンを食べ始めた
今朝、リビングのソファで目を覚まし
部屋に戻ったら菜々はもう居なかった
村人Aは日常に戻った
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