第44話

夜の街は

寂しい人ばかりで落ち着く

ここが私の居場所かもしれない


深夜1時

葉月夜子はバイトを終えて帰宅する


高校を出てすぐ飲み屋で働いている

中学の時の先輩のつてで

葉月夜子は

年齢を誤魔化して働き始めた


元々、大人びた顔立ちの夜子は

化粧をするともっと大人っぽくなった


学校では色気が際立ってしまうが

色めき立った夜の世界の中にいると

夜子の清らかさが際立った


色っぽいとか色気があるというのは

いやらしいと言われているようで

嫌いだった


普通に手を添えても

なんかエロイね

普通に髪を結っても

色気やばいね


そんな目で見てるお前がエロいだけだろ


心の中でそう思いながら

過ごしてきた


夜の世界は

色っぽくて当たり前

騒がれることも無い


楽に呼吸が出来るような

そんな感覚を覚えた


ここは誰もが性的な目で見られている

私だけじゃない


いやらしく思われないようにと

ガサツに振る舞うこともしなくていい


シャワーを浴びて

ベッドに滑り込み

久しぶりに充実感を感じながら

夜子は微笑んで眠った

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