第12話

俺の後ろの席の杉田陽は

中学時代からの彼女と

(時々彼女が怒る事を除けば)

相変わらず仲良く

穏やかな関係で順調なようだ


初めての彼女を大事にしていて

卒業後には彼女と結婚して

穏やかな人生を送るだろう

と思われる


隠れてタバコを吸ったりと

多少やんちゃな所はあるが

一途で純朴な男だ



きっと俺もそうなるだろう

と佐々木健太は

女子校に通う彼女を思い浮かべる


彼女に出会ったのは

高校生になってすぐ

中学時代の女友達の紹介だ


凄く美人な訳でも

好みのタイプとかでも無かったが

可愛らしく清楚で透明感があって

それだけでドキドキした


付き合ってからは

殆ど会えなかったけれど

毎日のように電話したり

誕生日にはプレゼントを贈ったり

せっせとお付き合いをこなし楽しんでいた


可愛い女の子を大切にしたいと思う

きっとこれが愛なのだろう


杉田も世の中の男達みんな

自分の道を歩みながら

たった一人の彼女を笑顔にする事が

男としての価値なのだろう


部活も彼女との関係も

楽しくこなしている


俺は幸せだ

幸せ...


騒がしい教室の中で

気がつけば俺は文月菜々を目で追っていた

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