第5話

「文月さん、美人すぎるよな」

佐々木健太は大きな体を傾けて

ため息をつくように語り出す


柔道部の佐々木健太は

背が高く

引き締まった身体は筋肉質だが

穏やかで優しい顔立ちをしている


「中学の時も一番モテてたらしい」

大きな体を傾けすぎて

健太は杉田の机に頭を乗せる


笑顔で教室を出ていく菜々が見えなくなると健太はニヤリと笑う


紙パックのジュースを飲み終えた杉田は

健太の頭にパックを乱暴にポコッと乗せて

「お前女子校の彼女居るだろ、デレデレするなよ」

と責めるような視線を注ぐ


健太はガバッと起き上がると杉田を見て

「お前あの人と付き合えるなら彼女と別れる?」

「何をアホなことを...」

そう言いながら杉田は菜々が座っていた机を見つめる


「アホな事だよなあ」

「だよ。お前彼女の事大好きだろ?」

「まあね」

健太は照れながらニヤニヤと笑った

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