第2部:成長と葛藤

第2章:ライバル関係

翔太がアルティメット部に入部してから数週間が経った。毎日の練習を通じて、彼は少しずつフリスビーの技術を身につけていったが、それでもまだ初心者であり、先輩たちや恭介に比べると劣っていると感じることが多かった。


ある日の放課後、翔太は部室でユニフォームに着替えていると、同級生の佐藤恭介が話しかけてきた。


「翔太、今日は一緒に練習しようぜ。」恭介の目には親しみと共に挑戦的な光が宿っていた。


「もちろん、お願いします!」翔太はその申し出を喜んで受け入れた。恭介との練習は厳しいが、そのおかげで自分の技術が向上しているのを感じていた。


練習場に出ると、二人はパスの練習を始めた。恭介のパスは速く、正確だった。翔太は必死に追いかけ、なんとかキャッチしようと努力したが、なかなか上手くいかなかった。


「もっと体の使い方を考えろ。単に走るだけじゃなくて、相手の動きを予測しないと。」恭介は冷静にアドバイスを送りながらも、次々とパスを投げ続けた。


翔太は汗だくになりながらも、恭介のアドバイスに従って動きを変えていった。少しずつだが、キャッチの成功率が上がっていくのを感じた。


「そうだ、その調子!」恭介が微笑んだ。「でも、次はこれをキャッチしてみろ!」恭介はさらに難しいパスを投げた。


翔太は全力で飛びつき、そのフリスビーをキャッチした。息を切らしながらも、その成功に喜びを感じた。


「よし、いい感じだな。でも、まだまだだぞ。次は投げ方をもっと練習しよう。」恭介はさらに高い目標を設定した。


その日の練習後、翔太は部室で着替えながら、自分の進歩について考えていた。恭介との練習は厳しいが、そのおかげで自分が少しずつ成長していることを実感していた。


「翔太、今日はいい練習だったな。」部室に入ってきたのは、部長の高橋悠馬だった。「恭介との練習はどうだ?」


「ええ、恭介は本当にすごいです。彼のおかげで僕も頑張れます。」翔太は正直に答えた。


「そうか。恭介も君のことを高く評価しているよ。お互いに切磋琢磨して、もっと上手くなってくれ。」悠馬は励ましの言葉をかけた。


その時、奈々が部室に顔を出した。「翔太くん、今日の練習どうだった?」


「少しずつですが、上手くなっている感じがします。でも、まだまだですね。」翔太は笑顔で答えた。


「大丈夫、焦らずに一歩ずつ進んでいけばいいのよ。」奈々の言葉には優しさと励ましが込められていた。「それに、恭介も君のことをライバルとして認めているみたいだしね。」


「え、本当ですか?」翔太は驚いた。


「そうよ。だからこそ、もっと頑張って。」奈々は微笑んだ。


翔太はその言葉に勇気をもらい、これからも一生懸命頑張ることを決意した。恭介とのライバル関係は、彼にとって大きな成長の原動力となることを感じていた。


翌日の練習でも、翔太と恭介は互いに切磋琢磨しながら技術を磨いていった。翔太は恭介の足の速さに対抗するために、自分の投げ方をさらに改良し、より正確で速いパスを目指した。


「翔太、その調子だ。もっと強く、もっと正確に投げろ!」恭介は激励しながらも、負けじと自分の技術を披露した。


二人の競争は激しさを増し、練習場には緊張感が漂っていた。しかし、その緊張感の中にはお互いを高め合う友情も確かに存在していた。


翔太は恭介との練習を通じて、自分の限界を越えることができると信じ始めていた。そして、恭介もまた、翔太というライバルの存在によって新たな刺激を受けていた。


その日の練習が終わり、部室での帰り支度をしていると、副部長の山田直樹が話しかけてきた。「翔太、今日はいい動きだったな。君たち二人の競争が部にとってもいい刺激になっているよ。」


「ありがとうございます。もっと頑張ります!」翔太は力強く答えた。


「そうだな。その意気だ。これからもお互いに切磋琢磨して、もっと強いチームを作っていこう。」直樹は頼もしく言った。


翔太はその言葉を胸に刻み、これからも全力でアルティメットに取り組むことを誓った。恭介とのライバル関係を通じて、翔太は自分自身を超えるための挑戦を続けていく。そして、仲間たちとともに、さらなる高みを目指して進んでいくのだった。







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