面接の日

◆◆◆ (side朱里)




 遂に面接の日がやってきた。これで合格をもらったら遂に!憧れてきたVtuberデビューだ!


 私は人生で一度も味わったことのないくらいの嬉しさと心配を胸に抱えながらVTOPの本社の自動ドアを通った。


 なんか受付の人の目が険しかった気がするのはのは気のせいだろう。…多分。


 というか面接ってどんなことを聞かれるんだろう。


 知らない…これ知っといた方が絶対いいやつだと思うんだけど、もしかして私やらかした?


 でもまあなんとかなるだろう。


 とりあえず頑張ろう…




◆◆◆




 この感覚はなかなか慣れない。なんせ人の見ている景色が自分にも流れ込んでくるのだから。


 えっと…今はあの手紙にあった面接をしているのだろう。


 主人格は結構いい感じの受け答えをしているようだ。


 それにしても面接官が結構探ってくるな…あの手紙が不味かっただろうか…


 やっぱり一時の感情で動くのは不味いか。


 そんな事を考えているうちに面接が終わったみたいだ。


 まあ、受け答えはあんまり面白くはなかったかもしれないけれど、概ね不合格に簡単になるような内容ではなかっただろう。


 そういや前スマホでちょっと二重人格について調べたんだけど、調べれば調べるほど自分っていう存在が邪魔なことが分かって来たんだよな…


 でもなんか二重人格(解離性同一障害って言うらしい)は幼少期のトラウマが原因で起こることが多いらしいから、主人格もトラウマを抱えているのかもしれない。


 ということは主人格の普段を和らげるために俺がいるのだろうか?


 考えれば考えるほど混乱してくる、なんせ俺の知らないことがたくさん起こっているのだから。


 うーん、俺が出てくるタイミングも調整することは出来ないし俺の存在はやっぱり邪魔だと思うんだけどな…


 こういう時に主導権握ってると色々調べたりすることが出来るんだけど、やっぱり主導権がないと、ただ行動に移せないことをただただ考え続けている悲しい人になってしまう。


 悲しい人で終わるのも嫌だから今度主導権がきた時にどんな事を調べるか考えておくか…(いつくるかはまったくわからないけれど)


 流石に俺の存在に主人格が気づいてもおかしくない頃だと思うんだけど、なんで気づく様子が全くないんだろう。


 ああ!考えるべきことがどんどん増えていく。


 こんなことを考え続けても何も始まらないと分かっているのに。


 だって俺は所詮、ずっと体の主導権を握っていることもないただの人格なのだから。

 

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