第11話 ツンツンなあの子の応援の力
愛の声援が聞こえた瞬間、俺の足の痛みと疲れは吹っ飛んだ。
「はいはい、分かったよ、やればいいんだろ!」
先程より格段に軽くなった足を前へ進め、スピードを上げていく。
「「「頑張れー!」」」
声援が増えていく。目立つのは嫌いだが、たまには悪くないと思いつつ、英一と距離を縮めていく。
「ん?...って冬流!?早すぎんだろ!?」
「すまんな英一、応援されたもんで。」
「っておい!急に早すぎんだろ!」
英一を抜かし先頭になる。
周りからは歓声が上がっていく。
「プレッシャーすごいし、暑いし...散々だな。」
更にスピードを上げ、ゴールが見えてくる。余裕でゴールできる。そう思った瞬間だった。
「い゛っ...!?」
結構痛がっている声だったが、そんな痛くはない。足首をひねることぐらい日常茶飯事(?)だが...今はまずい。俺がスピードを少しずつ下げると、英一との距離が近づく。
「冬流!今度こそ先行かせてもらうぞ!」
「行かせるかよっ...」
大丈夫だろうと思い踏み出す足。妙に力み過ぎてしまい、激痛が走る。
「んじゃ、お先っ!」
「行かせないって...言ってんだろ...」
痛みが走る足で必死に走る。最悪この後の競技に出れなくてもいい。出ないと楽しくないが...今はこれに集中だ。
自分に出せる全力で走り出す。
「あ゛~、マジで痛かった...」
「なんでそんなに無理すんのよ。バカなの?」
「陰キャはこういう時くらいしか目立てないんだから、良いだろ...」
「はいはい、分かったって。」
愛と先程のリレーの話をしながらも、日陰で足首を冷やす。
この学校で有名な借り物競争には出られるだろうか。結構出たいから早く治したい。
「でも、よく頑張ったじゃん。」
「え?何が?」
「だってさ、そんだけ痛いのに一位なんでしょ?すごいじゃん。」
「あ、あぁ、ありがとう...」
ちなみにリレーの結果は俺が何とか一位、英一が二位だった。
「でも、結構危なかったけどな。」
「確かに、途中で急にスピード上げてたけど、好きな子に応援でもされた?」
愛にニヤニヤされながら聞かれる。
「いや、そういうんじゃなくて...こういうとこでしか...」
「それ、さっきも聞いた。」
「セリフを遮るなよ...」
「はいは~い、ごめんなさ~い。」
こういう会話をしていると、昔の愛を思い出す。
今の愛はどんな人を好きになっていて、どんなことを考えているのか。俺には見当もつかない。けど、愛の笑顔はやっぱり太陽のように眩しい。
「最近は結構柔らかくなってきてるよな...良かった。」
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第11話です!
遅れて本当に申し訳ない...orz
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