第24話 ジャスティスが似合う男
ポチは局内を走り回り、どんどんとその速度は速くなっていく。
魔王達も全速力でポチを追いかける。
「ねぇ」
「なんだ?いいから走れ、見失うぞ」
「だけどさ、」
「だけどなんだ?」
「テレビ局って走っていいんだっけ?ほら、学校とか廊下は走っちゃ駄目って言われるじゃん」
「ダメなのか?」
思わず我は足を止めてしまう。
「いや、分かんないけど。でもあんまり良くはないんじゃないかな〜」
「だが歩きでは置いてかれるぞ」
「まいっか。この際走っても、」
「待て」
都合よく解釈し吹っ切れた優菜は再び走り出そうとするが、その手を掴み止める。
「ダメなものはダメだ」
魔王もルールくらいは守る。
「いや、でも、置いてかれちゃうわよ!」
「分かってる。走るのがダメなら他の方法で追いかけるだけだ」
「他の方法って」
「走らず歩く。出来るだけ早歩きでな!!」
「それただの屁理屈だから!」
「行くぞ!!」
魔王達はほぼ走ってるに近い速度で歩き、ポチを必死に追いかける。
すると目の前の通路に複数の男達が集まり行手を塞いでいた。
「邪魔だ道を空けろ!!」
「ちょっ、あの人達は」
どストレートな魔王の発言に青ざめる優菜。
「な、なんだ?」
必死な形相で近づいてくる魔王達を見て動揺する男達。
「いいから退けぃ!!」
「うわっ!……」
男達を掻き分けるように強引に突っ切って行く魔王達。
「あの、すみませんでした!!」
一度足を止めて男達に頭を下げると優菜も急いで魔王達を追いかける。
「あの男。まさか……」
「危ないなぁ!!」
「高城。今の誰か分かるか?」
俳優らしき風貌の男はマネージャーに尋ねる。
「えっと、確か似たような男を子供番組で見たことあるような気が」
「子供番組!?」
「ええ。聞くところによると、どうやらその撮影中にトラブルがあったみたいです」
「それで局内が何かと騒がしいのか……」
「もしかして正義さんあの男と知り合いで?」
「いやなんでもない……」
だが男の表情は明らかになんでもない人間の顔ではなかった。
「あんな失礼な奴らのことわ忘れて急いで現場向かいましょう。正義さんいなきゃ始まらないって皆待ってますから!」
「ああ、分かってる」
男は頬を緩め微かに笑った。
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