第17話 嫉妬の国の王子様
あの生放送から数日後。
我は撮影の為テレビ局に来ていた。
「お、この間の主役が来たな」
「余り茶化すな。恥ずかしい」
間宮が我を迎える。
「あれだけ目立ってたくせになに言ってんだか」
「それは偶々ってやつだ。それに我もあの時のことを少し反省しているのだ。ちょっとやり過ぎた」
「別に反省する必要もないだろ。実際結果は出てるわけだし案外様になってたぜ。ザ・子供番組のおにいさんって感じがして俺は好きだしな」
「ぐぬぬぬぬ……」
背後から何者かの歯軋りの音が聞こえる。
「どうした?」
「いや、きっと気のせいだ。気にするな」
「私もこの前のまおおにいさんの活躍良かったと思うけどな〜」
ルンルンな様子でやってくる青柳。
「なんでお前がそんなに調子乗ってんだよ」
流れるような動きで頭を叩く間宮。
「だって嬉しいじゃないですか。この前の生放送がSNSの急上昇ワードで幾つもランクインしたんですよ。つまり、私達バズったんですよ!」
「だから言ってんだよ。バズったのは私達じゃなくてアイツだけだろうが」
我を指さす間宮。
「なんの話だ?」
「お前の存在がSNS上で大人気になってるって話だよ」
「そうなのか?」
「そうそう。放送終了後なんかまおおにいさんの名前で溢れかえってましたもん」
「ぐぬぬぬぬぬぬっ!!……」
やはり聞こえる。なんだこの嫉妬に満ち溢れた気配は。
「しかも瞬間最高視聴率だけで言うと最後のお前のシーンが1番らしいからな」
「そうそう!もっと自信持っていいんです。だって今日もまおおにいさんの事に関する問い合わせがテレビ局に頻繁にかかってきててるそうですよ!」
「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ……」
どんどんと圧が増してきている。
なんだか嫌な予感がする。
とてもめんどくさい奴がやって来そうだ…。
「このまま行けばもしかしてメインキャスト交代もあり得るんじゃないか?」
「全然あり得ますよ。あきひろおにいさんからまおおにいさんへ世代交代。いいじゃないですかそれ、この際思い切ってやっちゃいましょうよ!」
我を差し置いて2人の会話は盛り上がっていく。
「おい2人ともそこら辺にしておいた方が身のためかもしれんぞ…」
「「え?」」
「ふざけるなぁぁ!!」
間宮と青柳の盛り上がる会話に耐えきれなくなった神道が殴り込んでくる。
「いつの間に……」
「うわぁ…」
「摩戒魔央!!」
「?」
「お前のような素人が少し話題になったからってあんまり調子に乗るなよ!この番組は俺の番組なんだからな!!」
我を全力で睨みつけると唾を吐き捨て去って行った。
「な、なんなのだあれは……」
「危なかったな……。それにしても神道のヤツ。随分お怒りだな」
「仕方ないですよ。まおおにいさんが自分より目立ったんですから悔しいに決まってます」
間宮と青柳は小声で愚痴りだす。
「ま、アイツは昔から出る杭は片っ端から打っていくタイプの人間だしな」
「じゃあまおおにいさんも…?」
「いやそんな簡単に行くとも思えねぇけどな」
「?」
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