七十六話 人の恋路
「そっかそっか、
「なんで嬉しそうなん?」
さきほど三宅に告白された事を
ニコニコとしながらそんなことを言っているが俺は困惑してばかりだ。
「……私も告白してみよっかな」
「
ちなみに今は疾峰もいる、三宅の告白が終わって栞と合流したら彼女も一緒にいたのだ。
というか喋ってた、そしたら一緒に帰ろってことになった。
そんな彼女が告白のくだりを聞いて神妙な表情で ボソッと何か言ってたけど聞かなかったことにしよう。
気のせいじゃなければ 告白してみよ とか言ってたし。
「してもいいけど絶対成功しないよ?いいの 疾峰さん?」
「あはは、聞こえてたんだ……恥ずかし」
どうやら本人は聞かれたと思ってなかったようで栞の言葉に照れたように頭に手を当てた。
少なくともこれだけ可愛いなら素敵な人と巡り会えるだろうな、素直に応援するよ。
「俺じゃなくてもっと色んな人と関わって良い人を見つけてくれ、絶対 疾峰さんなら良い人と会えるから」
「うっうん……」
それはただの事実、別に変に褒めようってんじゃないのだが何故か彼女は頬を朱に染めている。
思ってた反応と違う。
「好透って素でそういう事言うよね、下心ないのが分かるから普通にキュンと来るからね?自覚した方がいいよ」
「えっ」
栞がそう言ったのだが全くそんなことを考えてなかった。というかなに、下心ないとか分かるもんなの?良かった何にも考えてなくて。
「だから
「えぇっ」
疾峰も一体何に納得してるのかと困惑している俺を他所にニコニコとしている二人はとても楽しそうだった。
まぁ、それなら良いか。
途中で疾峰の帰り道とは別になったので今は栞と二人きりである。まぁいつも通りだな。
しかし途中で彼女の友人がいたようだ。
「あっ、
「……しおり?」
しかしどうもその友人の表情は優れない。
体調でも悪いのだろうかと思ったのだが……栞の反応を見る限りそういう訳ではなさそうだ。
「…やっぱり希じゃなかったんだ」
「うん、栞の言う通りだったよ」
なにやら意味深な会話だ、ついていけないので俺は聞くだけに留めとく。
彼女は確か……
栞の顔の広さとコミュニケーション能力の高さには脱帽するばかりである。
しばらく喋った後は彼女と別れて家に向かった。
どうやら観納は幼馴染が好きらしいのだが昨日、その幼馴染が告白され付き合ったんだとか。
告白したのはソイツのクラスメイトだって。
栞は観納に '' 正直になれ '' と言っていたようなのだが、結果を見るに言葉通りにはしなかっようだな。
まぁ俺も俺で そんな目で見てないとか言ってたので大概だ、偉そうなこと言えん。
結局はボタンの掛け違えのようなものなんだろう、俺は上手くいったけど彼女はそうじゃなかったんだ。
「あの子はちょっと強く否定しすぎだったね」
「……まぁ俺も大概だろうし人のこと言えん」
「そう?確かに好透は '' あんなこと '' 言ってたけど冗談っぽく言ってたから全然印象違ったよ。本音もポロポロ出てくるし」
確かに本気で そんな目で見てない とは言わなかったが……まぁ観納がどんな言い方してたのか俺には分からないのでなんとも言えないか。
ただ少なくとも、俺は栞を大切にするだけだな。
そう思った俺は、彼女の手をギュッと握った。
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