一話 俺とお前は家族みたいなもんだろ

 今日はなんて事ない一日、退屈な学校がある日である。

 そんな朝に俺、天美あまみ 好透こうすけを起こしに来たのは、ワンサイドアップにした、ツヤのある黒髪が似合う幼馴染、長名おさな しおりである。

 少しつり目ではあるが、彼女の持ち前の明るさのおかげかキツくは見えない。


「好透ー、おはよ!朝だよ!」


「あー、おはよー」


 栞が来る直前に起きた為、寝ぼけ眼を擦りながら起きて彼女を見る。うむ!今日も可愛い!

 思わず釘付けになっていると、何を思ったのか栞が変な事を言い出した。


「なに?私の事じっと見て……ふーん、もしかして見惚れてんのー?」


「いや、相変わらず元気だなって思っただけだよ」


 その元気な彼女から毎朝エネルギーをもらっているので、俺はなんとも贅沢な人間だ。

 腰に手を当てていたずらっぽい笑みを浮かべた栞が、とっても可愛い。最推しだわ。


「それだけぇ?これでも私色んな人から告白されるから、意外と自信あるんだけどなー」


「いや、俺ら何年の付き合いだよ。全然そんな目で見ねぇって」


「うぇ、なにそれちょっとショック」


 何を言っているのか、見惚れていたに決まっているしガッツリそんな目で見ている。

 流石にこいつもそれくらい分かっているだろうが、何故かショックを受けているみたいだ。

 まぁそれきっと建前だろう、ラブコメでもよくあるし。


 顔を洗って歯を磨き、朝ごはんを食べる。

 ちなみに朝ご飯は俺が彼女の分も用意している。


 仲良く楽しい朝ごはんだ。


「ご馳走様!今日も美味しかったよ!」


「おう、そりゃよかった」


 朝食が終われば着替えだ。

 といっても着替えはすぐに終わり、栞の待つリビングへ向かうと彼女はソファの上でスマホを見ていた。

 勿論制服なので下はスカートだ、油断しているのか少々脚を開いており白色パンツも見えているので朝から眼福である。

 暫く眺めたあと、栞に声を掛ける。


「終わったぞ」


「はーい」


「あとスカートなんだから脚は閉じとけよ、白いのが見えてたぞ」


 幼馴染として注意しておく。

 あんまり見せるもんでも無いだろうしね、まぁ俺は魅せられたが。

 立ち上がった彼女は、顔を真っ赤にしてスカートを押さえた。


「え、ちょ!見ないでよエッチ!」


「仕方ないだろ見えたんだから、暫く眺めさせてもらったし」


「ば、バカ!私のことそんな目で見ないとか言ってた癖に!」


 顔を真っ赤にして怒ってトントンと肩を叩く。

 申し訳ないが可愛いので全然迫力がないし、勢いもないので痛くも痒くもない。むしろ癒されるくらいだ。


「いや何言ってんだ、建前に決まってるだろあんなん」


「ふぅぇ?」


 沈黙の時間が流れる。

 なんで呆然としているのか分からないが、俺は何か間違ったのだろうか。

 でもこいつだってラブコメ小説はよく見ている。知らないネタでは無いはずだ。


「ほら早く行くぞ、遅刻する」


「えっあ、うん」


 口を小さく開けたまま可愛らしく呆然としている栞の綺麗な手を引いて家から出る。可愛いからずっと見てても良かったけど、時間に限りもあるし仕方ない。

 改めて外で掌を合わせるように手を繋ぎ直す、いわゆる恋人繋ぎだ。


「ねぇ、好透」


「どした?」


 学校へ向かって数分ほどいると、珍しく喋っていない栞がやっと声を掛けてくる。何処となくしおらしく、これはこれでまた可愛い。


「さっき私の事そんな目で見ないのは建前って言ってたじゃん?」


「そだなぁ」


「その、それってどういう事かなーって…」


 いつになくモジモジとしていて、顔を真っ赤にしている。視線もかなり泳いでいるし、しどろもどろと言った感じで最高に可愛い。


「だから、俺は栞の事をめちゃくちゃそういう目で見てるって事だよ」


「うぅ、じゃあなんでそんな目で見ないとか言ったの?…もう」


「ラブコメでありがちだから」


「へ?」


 モジモジとしていた栞がフリーズした。

 勿論歩いてはいる為完全にフリーズという訳では無いだろうが、余程面食らったらしい。


「いや確かに幼馴染系ラブコメでよくあるけど!」


「だろ?」


「そうじゃなくて!そうなったら私、負けヒロインじゃん!」

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