SS 習作
@koheimaniax
主人公A エチュード 放課後の帰り道
テーマ1:登場人物の外見描写に重点を置く
テーマ2:登場人物の仕草を入れる
アプローチ:頭・顔から描く
「あー、今くらいの時間が一番過ごしやすいわ」
「そうだな、山歩きをするにも今くらいがいい」
そよ風の中で
ほんのすこし面長の顔に、大きな瞳をした足立は、子供のように両手と足を交互に繰り出しながら歩いている。
その真横を、小さい歩幅で野衾が歩いている。しかし彼女の長い手足は、その威容を無言で誇るかのように、坂道の上に長い影を投げかけていた。
足立はそれを横から見上げつつ、彼女を眺めた。
身長170cmの長身に長い手足、その背中を流れる黒髪。
小さい顔に白い肌、そして高い鼻の上に乗った黒縁の眼鏡。
彼女の体躯を、黒いセーラー服がゆったりと包んでいる。
黒のロングスカートから覗く白い足。
足立はそれを横から眺めながら、ため息をつく思いだった。
(あたしが男だったら、速攻で告白してるレベルだな、うん)
それくらい、野衾はセーラー服が絵になる程に似合っていた。
「コラ、さっきから何を見ているんだ?」
「あんたを見てだけだよ、同性だからセーフだよね?」
足立は両手を体の前でクロスさせつつ、両手を大きく広げる。
それを受けるように、野衾は体の前で両腕をXの形に組んだ。
「アウトだ、足立が社会に出た時が心配だよあたしは」
野衾はいいつつ、自分の長い黒髪をサイドから撫でた。
それが、ため息をつきたくなる時の彼女の癖である。
それから、不本意ながらも足立を上から眺め下ろすように見た。
ほんの少し低い背丈、校則規定ややギリギリに短く詰めたスカート。
茶色に染めた髪に、可愛らしく揺れるポニーテールと、よく笑う顔。
(こいつ、喋らなければ相当にモテるのにな。残念な奴)
そして、ほんの少しだが、彼女と同じくらいの身長に生まれれば良かったとも思った。同じ高さと目線で同じように世の中を見られる事が、何よりのことだと彼女は思っていたからだ。
黒く、艶やかに磨かれた足立のローファーの靴先が、夕映えを写して輝いた。
その反面、野衾の靴は、実用性一点張りのトレッキングシューズだ。
「ノブさあ、せっかく足長いんだからもっと可愛い靴買いなよ」
ほんのすこしのやっかみを込めて、足立が囃し立てるように言う。
「断る。便利だぞ、歩くのに不自由しないし痴漢対策にもなる」
「トゲトゲついてるから?」
「うん、一回こいつで蹴りを入れたことがある」
「ひえっ、こわ〜い」
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