第12話 試験の終わり
そうして僕はレイナの隣で腰をかがめ、やがて砂の上に腰を置いた。
「で、話ってなんだ?」
「あなた、どうやってあいつを倒したの?」
僕は自身を持って言った。
「あの時、僕は新たな風魔法の使い方を学んだんだ。」
そう、僕はあいつに風魔法を逆手に取られたときに気づいたのだ。僕自身が相手に引き寄せられればいいんじゃないかって。だからこそ、あんなスピードをたたきだすことに成功していたのだ。
「そうなの。なんか、うれしいわね。」
「なんでだ?」
そうしてレイナは海を見つめながら、心底嬉しそうに言った。
「前まで風魔法の発動の仕方さえ分からなかったあなたが、どんどん私に追いついてくるんだもの。とてもうれしいに決まってるじゃないの。」
「そうか。じゃあ、いずれ君なんか追い越してあげるよ。」
「ふふ。楽しみにしてるわよ。」
その後、しばらく僕たちは談笑をしていた。その時間はあっという間で、気づけば太陽は真上にまで登ってきていた。
「もう昼か。」
「そうね。そろそろ戻りましょうか。」
そうだなと頷こうとしたのだが、僕はある疑問が浮かんだので問うことにした。
「そういえば、君ってどうやってこの学校に来たの?」
「え?」
彼女は心底あきれたような顔をし、そう聞き返してきた。
「どうした?あきれて。」
「どうもこうもないわよ。まあ、その質問の答えなんだけどね。私は村一番だったでしょ?だからいつも特別な待遇を受けていたの。」
「じゃあ、この学校に来れた理由って。」
「そう。これも待遇のおかげよ。だからあなたとは別の形で入学する羽目になったのよ。」
「そうか。ありがとうな。教えてくれて。」
「ええ。かまわないわ。じゃあ、帰るわよ。」
そうして、僕たちはあいつらがいる拠点へと足を運ぶのだった。
そして僕たちはみんなと無事合流を果たし、そのまま何も起こることなく2日目が終わり、3日目が終わろうとしていた。
3日目の終わり間近、浜辺に船が到着した。だが僕とユイガはそこから数百メートル離れたところで、おととい手に入れたコインを渡していた。
「すまん。渡すのを忘れていた。」
「ひどくない?ねぇ、昨日ならわかるよ!?だけどさ、おとといって何!?ねぇ、聞いてるのかよ!!」
そんな言葉を華麗にスルーしつつ、ようやく僕たちも船へと向かった。移動最中、僕は空を見上げ続けていた。その夜空は青黒く、どの青空よりも美しかった。まるで、僕たちにお疲れさまと。ねぎらいの言葉をかけるかのように。
そうして僕たちは生徒たちが集まっているところに到着した。どうやら僕たちが最後だったらしい。大衆の生徒達の前にいた校長は僕たちを一瞬だけ視認してこういった。
「皆の者。第一次試験本当にご苦労じゃった。」
そう校長は一泊を置き、
「これにて、第一次試験を終了とする。」
こうして、僕たちの第一次試験は終わりを告げた。
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