恋桜の下で会おう

@tamago321

第1話

 ある日小さい頃の夢を見た。


「ヒヨリちゃんこれあげる。」

「わぁー、きれいなお花!」

「ヒヨリちゃん。大きくなったら結婚しよう!」

「うん!」


よく漫画とかで見るような会話。よくある展開だと、なんやかんやあって結婚する流れだが、現実は違う。なぜなら彼は、ミナト君はもうここにはいないから。


「ヒヨリちゃん。僕、遠くに引っ越すんだ。」

「え?なんで?」

「お父さんのお仕事で...」

「嫌だ!離れたくない!絶対ミナト君と結婚するんだもん!」


そんなことを言ってる私に、彼は言った。


「じゃあ、ここで待ってて。この木の下で。いつか僕がここに帰ってくる。そしたら結婚しよう!」


それ以来、私はこの桜の木の下で彼を待つのが日課になった。彼は来ないはずなのに。


 朝だ。日の光が眩しい。まだ眠いが、学校には行かなくてはいけないので私は学校に行く準備をして家を出た。


今日も私はここで待つ彼は来ないとわかっているのに。すると、誰かに話しかけられた。


「お前もその桜が好きなのか?」

「私?まぁ、思い出というか。」

「思い出か、奇遇だな。俺もさ、この桜が思い出なんだ。とある人と、ここで会おうって約束したんだ。」

「それって...」

「時間だ、じゃあな!」


驚いた。あれは間違いなく彼だ。まさかまた会えるとは思わなかった。また会いたい。また会って、また話したい。


 「ヒヨリ?」

「ユウカ、どうしたの?」

「それはこっちのセリフだよ。今日ヒヨリなんか変だよ?」

「そう?」

「そう!なにかあった?」

「実は...」


私は今日あったことを話した。


「ヒヨリ!それは絶対チャンスだよ!」

「チャンスって?」

「とりあえず、次その人を見つけたら連絡先の交換まで持ちかけること。いい?」

「それって、どうやって...」

「勇気を出す!私からはそれしか言えないかな。」


そんなことを言われてもどうすればいいのかなどと思っていたがチャンスは突然やってくる。


「よっ、また会ったな。」

「そうだね。また、とある人を待ってるの?」

「ああ。いつ会えるかわからないしな。」


やっぱり彼は...ミナトは待ってる私のことを。ここで勇気を出さないと。


「そのことなんだけどさ。もしかしたらそれ、私なんじゃないかなって...」

「それってどうゆう...」

「私もね昔ここで、とある人と約束したんだ。その人は、引っ越すときの別れ際こんなことを言ってたの、ここで待ってて。この木の下で。[いつか僕がここに帰ってくる。そしたら結婚しよう]って」

「まさか...お前...」

「その人の名前は、ミナト。」

「ヒヨリ?なのか?」

「久しぶり。ミナト。」


こうして私は彼とまた会えた。でもまだこれだけでは終わらなかった。

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