プラスチックへ愛を込めて

語部 自流

バーチャル・プラモデル・オンライン

<プロローグ>プラモデルを愛する全ての者へ

 赤茶げた地平線。

 そこで正面から向い合い、対峙する人型の機械が二機。


 両機体が同じシリーズの機体であることは見ればわかった。

 違うのは、色とわずかな武装のみ。

 片やピンクを基調とし、二本の角が目を引く、見るからに〈エース〉という風情の機体。

 片や緑の迷彩カラーで、敵機とほとんど同じシルエットでありながら歴戦の〈量産機〉といった風貌の機体。

 〈エース〉は銀色に輝くヒーローが握る様な直剣を。

 〈量産機〉は全てを破壊せんとでも言う様な巨大なハンマーを。


 お互いの得物で、目の前の敵を殲滅せんと高ぶっている。


 ゴォォーーーーン!ゴォォーーーーン!


 やがて、辺りにけたたましい鐘の音が響き渡る。

 それを合図に二機の背中から、足から、超巨大なバーナーを点けた様な炎が吹き出し、ミサイルの様な勢いで衝突する。


 ガガァァァァン!!!!


 各部のバーニアにより、文字通り爆発的な推進力を生み出した二機は、まず武器同士がぶつかり合い、そのままの勢いで機体同士が衝突。

 勢いは死なず、鍔迫り合いにもならずに、お互い激しい衝撃に打たれながら弾けるように距離を取る。


 〈エース〉が即座にバーニアを噴かし、〈量産機〉がハンマーを振りかぶる。


 一突きで急所を刺し穿とうと迫る〈エース〉

 例え、この身が貫かれようとも粉砕する覚悟を決めた〈量産機〉


 激突。


 そして・・・。




 「・・・この機体の箱見たこと無いんすけど、何の作品ですか?」


 「このゲーム内にある独自の機体だよ」


 「作ったプラモデルで戦えるゲームですよね?」


 「だからクソゲーって呼ばれているんだよ」

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る