心臓のカテーテル検査

入院して、十日目。

ついに、心臓のカテーテル検査を受ける。

入院の後半戦の大きな山場といったところか。


朝食前に採血があり、ついでに浴衣タイプの術衣への着替え、そして点滴を入れられた。


点滴は、水分補給と造影剤の速やかな除去、また何かあればチューブからすぐに薬剤投与するためだ。まあ、そんな事態にならない事を願いますが。


朝ご飯は普通に食べてよいとの事。ありがたい。

昨日の検査は朝ご飯抜きだったので、お腹空いてつらかったのです。


検査開始予定時刻は、朝9時半。

それまでの待ち時間が、長く感じた。

ちょっと緊張している。柄にも無く。


なにせ、看護師さん達に何度か聞かれるんですよ。

『今日、付き添いの人は?』って。


え?別に付き添い人なんていないけど。

ずっと私一人で入院してますが、

何か問題でも?


そんな大掛かりな事なんだろうか?

不慮の事故など起きるような。

不安になりますがな。やめてよもう。


検査の時刻が近づいてきて、車椅子に乗せられて看護師さんと移動。

一階にある心臓カテーテル検査室へ向かう。


部屋の扉が開いた。

今までの検査室とは明らかに違った。

一言で表現するなら、『手術室』。


明るい照明の下、細長い手術台のベッドが一つ、浮き上がって見えている。

ここに今から、私が乗せられるのだろう。


今までの検査では、測定してくれる技師さんが一人、多くても二人だったけど、今回は5〜6人の看護師さんや技師さん、医師は主治医の先生だけでなく、さらに1〜2名。オペ用の服に着替えている。やはり、手術に準じるような検査なのだろう。


スタッフの皆さん、医師の先生達に、

よろしくお願いしますと、車椅子から頭を下げる。


オペ台に仰向けに寝かせられると、四方八方から看護師さん達の手が伸びてきて、たちまち正しいポジションに体勢を調整される。あまりにもたくさんの手で体の上も下も触れられるので、ちょっとビビった。


心電図用の端子が胸に取り付けられ、血圧測定器が左足首に装着された。ここまでは何されてるのか大体把握できたが、これ以降は実感としてはよくわからない。


というのも、顔に薄青の紙が被せられて、周りの様子が全く見えないからだ。さらには、全身を紙のようなもので包まれた感じだ。先生からの説明と、体からの感覚だけが手掛かりだ。


二箇所から、血管に針を刺してカテーテルを入れる。最初に、首の右側の静脈から。


痛み止め打ちますね、との事。

痛い。痛み止めの注射が痛い!

それが何箇所か打たれる。

我慢してたが、思わず『ンググっ』て感じの声が漏れた。自分でも今まで聞いた事ない。


結局のところ、この痛み止めの局所麻酔の注射が一番きつかった。


首からはなかなか上手く針が入っていかず、先生達はちょっと苦戦していたようだ。会話から推測すると。どうやら主治医の先生が、やり方を若い医師に教えながら進めている様子。まあ、いいけどね、それくらい。


首から無事にカテーテルが入ったらしく、次は左腕の手首へ。麻酔は痛かったけど、首よりマシか。左手首の動脈からは簡単に針が入ったらしい。カテーテルが血管内を上がって左肩近くまできた感じは、なんとなくわかった。


体の左右からカテーテルを入れる事で、心臓の右側、左側をそれぞれ検査できるという事のようだ。カテーテル挿入が無事完了して、今度は先生に言われるままに、息を吸って吐いて、止めて。造影剤を使用して、あちこち撮影。


最後にカテーテルを抜いて、検査終了です。

時間は、一時間ちょいかかった感じでした。


なかなか、歯応えのある検査だった。

つーかーれーたー。

今日はもうね、筋トレはお休みです。

無理無理。


ああ、犬を撫でて癒されたい。

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