診察と検査

待合室で、自分の診察の番まで待つ。

座れるのが、何よりありがたかった。少し休憩できる。


普段は電車通勤だけど、この体調だと席に座れたら天国だ。まあほとんどは立ちっぱなしだけど。シャンプーや化粧の匂いがキツい人が近くにいると、吐きそうになるのが怖かった。


自分の番が回ってきた。

診察してくれたのは普段は泌尿器科の男の医師だ。


三十代前半くらいの、ちょいと味のある感じで一癖ありそうな先生だった。自分の問診中も、別件で救急搬送中の事案にも電話でそつなく指示を出していた。


日曜で限られた人員配置の中、あれもこれも対応している感じだが、なんだろう?

忙しくしているのに、この医者に焦りは全く感じない。なんともいえない余裕がある空気。


周りのスタッフも、この人に任せておけば大丈夫だという、不思議な空気を感じた。


問診で症状を伝えると、すぐにベッドに寝かせられた。上半身は上げてある状態で、呼吸がしやすくすごく楽になった。

そのまま、血圧や酸素濃度測定、採血や先生からの更なる質問に答えていく。


後で医師が明かしてくれたが、

この時自分は、かなりヤバい状態だったらしい。


その場で一通りできる事が終わり、次はベッドごと看護師さんに検査室まで運んでもらい。

胸部のレントゲン写真と、胴回りのX線CTスキャンを撮った。


X線CTは、輪切りになった胴体の画像が連続撮影できる装置で、輪切りの画像を繋ぎ合わせて、立体的に可視化することもできる。


自分は動物実験用の装置でネズミさん達の撮影をした事がある。

撮影されるマウス達は、こんな感じだったんだろうなと。

まさか、自分自身が撮影される側になるとは、因果なものだ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る