現在

@sateketu

第1話

大学三年生になってからというもの、友人はいつも忙しなく動いており、こちらが娯楽に誘っても「時間がない」と断られてばかりだ。みな「就職活動」に精を出しているらしく、それどころではないという。私も一応友人と同年齢であるので、同じようにせわしなく動いてなければいけないのだろう。だが、期日の迫ったレポートや授業の復習をすべてこなしたとしても時間に余裕はある。これは私の「就職活動」が足りていないせいなのだろうか。私は毎日毎日迫りくる社会人というステータスから必死に逃げているだけなのだろうか。楽観的思考を持ち合わせているが故に先の人生について一切の焦りを感じていないという事に焦りを感じるべきなのではなかろうか。ゼロになったときいったい自分に何が起こるのかわからない爆弾のようなカウントダウンにおびえながら刻一刻と刻まれるその数字を眺めることしかできない。これが大学三年生なのだろうか。

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