赤子は血を舐め孤独を知る

琥珀糖_白狐

地獄の形

地獄とはまさにこの事なのだろう

産まれた瞬間 悟った

この世のものとは思えない程の絶望を


母親は苦しみで泣きじゃくり

父親は酷い暴言を吐く

兄貴と姉貴は言葉1つ発さず下を向いている

こんな家庭に産まれたのか 俺は


俺は女の子だった

そのせいもあってか空気は地獄だった

「男の子つったろ!!」

家の椅子を蹴る父親

「知らないわよそんな事ッ!」

ムキになって反論する母親

「もうやめて…」

「和葉!」

暴言に耐えきれず口を開く兄姉

「てめぇ…なんつった!!!」

乱闘騒ぎは当たり前 無い方が珍しい


そんな家庭に産まれた俺は

人の顔色を考える子供になっていた

「あはは、そうだね」

自分を殺して

それが一番の地獄だったのかもしれない


我ながらに凄いと思う

小学校2年生で空気を読む事を習得し

小学校3年生で偽の笑顔を習得

小学校5年生になると自分の考えが無かった

それを言う機会すら無かったのだ


いや、たとえあっても逃げてた

そんな俺の家庭のお話

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