第18話 森

「死体を調べるなんて

 冗談じゃないね」

という平原と

物理的に無理な車椅子の塚本を残して

僕達は応接室を出た。


あれほど怯えていた六条が

ついてきたのは意外だったが、

もう一度死体のある部屋へ行くことを

提案した手前、

責任を感じているのかもしれない。



2階に上がると

僕は一番手前の窓の前に立った。

3方向をコンクリートに囲まれた中庭が見えた。

正面のコンクリートの壁に

中庭の出入り口が見えた。

こうして2階から中庭を見下ろすと、

ますますこの建物の奇妙さが際立った。

中庭はさながら堀の中の運動場のようだった。

そしてその運動場の真ん中にある牢屋。

僕はブルっと身震いをして視線を左に向けた。

鬱蒼とした森が果てしなく続いていた。

森の向こうはどうなっているのかと

窓を開けて顔を出してみたが、

その森の先に何があるのか見えなかった。

ただ、森が続いていた。


僕は窓を閉めて皆の後を追った。

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