第7話 応接室②
「こ、こんにちは・・」
僕は慌てて頭を下げた。
「男か」
老いた豚が口を開いた。
「これであと1人ね」
隣の娼婦がそれに答えた。
2人の向かいに座っている魔女は
僕の方を興味無さそうに
チラリと一瞥しただけだった。
車椅子の堕天使は温和な笑みを浮かべて
僕の方へ小さく頭を下げた。
部屋の隅で立っている未亡人は
やや怯えた表情で僕の方をチラチラと見ていた。
僕は改めて部屋の中を見回した。
学校の教室ほどの広さの部屋には
テーブルとソファー、
そして壁際の大きな柱時計以外の調度品はなく、
やけに殺風景だった。
当然この部屋にも窓はなく、
天井のシャンデリアが
煌々と室内を照らしていた。
今が昼なのか夜なのか。
時計がなければ判断できないと思われた。
いや、それもアナログ時計では意味はないか。
僕は躊躇いつつ部屋の奥へと進んだ。
その時、扉が開いた。
現れたのは
ひょろりと背の高い
痩せ気味の病弱そうな若い男だった。
10代か、せいぜい20代前半か。
長い前髪が細い目にかかっていた。
低く小さな鼻に小さな口。
そして尖った顎。
長袖のシャツにデニムという
ラフな格好をしていたが、
この部屋の雰囲気と同じように
どこか陰湿な感じがする男だった。
「死神」
そんな言葉がすぐに頭に浮かんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます