第22話


 対して「タイプ2」は、“持続運用型”に分類される。


 タイプ1に比べてエネルギー効率が悪く、単位時間あたりにかかる魔力の消費量が増すが、その分、常時指定した箇所を強化することができる。


 強化した箇所は両足。


 より具体的には、膝の関節部分からつま先にかけて。


 指定した箇所が限定的であればある分、強化できる割合も上昇する。


 理想の配分としては、肉体的な質量の約4分の1程度。


 膝から下までの質量を考えれば、理想の配分と言えた。


 範囲を絞りつつ、出力を高めていく。



 「それで、どうする?」



 ジークハルトは挑発する。


 タイプ1で動きに緩急をつけてもダメだった。


 仮にタイプ2で出力を上げ、スピードそのもののベースを上げたとしても、そう易々と近づけるとは思えない。


 それだけの「差」があることは、お互い理解していた。


 だからこそあえて挑発した。


 本当に、”近づけるのか?“、と。



 さっきも言ったように、クラウスにとっては、攻撃を当てられるかどうかが問題ではない。


 勝負に出ている以上、後ろに引くわけにはいかないのだ。


 例え追いつけないとわかっていても、攻めの姿勢を崩すわけにはいかなかった。


 自分自身のスタイルを最初から最後まで貫き通せるかどうか。


 その愚直さが、勝負のより深いところに関わっていく。


 そして、その重要さをもっとも理解していたのは、“ジークハルト”だった。

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