結末が良い

世界観も物語そのものも絵本のような寓話性があり、軽やかに読める。

例えば、"悪魔の舌なら毒は平気" というよくわからない理屈を主人公が一般常識として認識している様子など、ヨーロッパの童話や民話を思わせる箇所が多々あり、雰囲気があり良い。

はじめに結末が提示されているので、最終的に主人公が王子を殺すくだりに驚きは無いが、そこがクライマックスになっている。

あれっこれで終わり? と思っていると、その後にエピローグ的な結末がある。

童話と思って読んでいたら、最後に「これは国の予算編成の話だぞ」と後頭部をぶん殴られる。
えっ、と思い、最初から読み返す。現代パートで描かれる「国民が王様をどう思ってるか」という評価基準に悪魔や耐毒の件が一切含まれていない。
過去パートとは無関係の結論として「こういう王様なら幸せな国になるよね」というふうに物語が締めくくられている。

同じ著者の他作品同様に、終わり方が本当に良い。童話でこのツイストは本当に面白いです。