第四十五話 花園

ここは、魔王城の花園。といっても一般的な人が思い浮かべる美しい庭というものはここにはない。



ここにあるのは、雑食の所詮化け物みたいな花が一杯植えてあるおぞましい場所なのだ。

基本的には、ゴミや罪人等を食わせており下手に弱いものが近づく事は危険だ。


アリアちゃん等は、どっちかいえば綺麗な花園があるゆかりちゃんちを大変羨ましく思っており。根絶やしにしようとした所、ヒルダリアに止められたので不貞腐れながら今もこの花園は魔王城の一角に存在している。



ここの庭師は、庭師以外の仕事が罪人をしょっ引く処刑人でもあるので基本的にはガラが良く無いのではあるが。アリアちゃんが尋ねてくると、飴ちゃんをくれたりする。


ママンが「根絶やしにしたら、庭師さん達のお仕事がなくなっちゃうでしょ?。新しく作るなら農場を拡張してそっちに可愛い花畑を作るのならともかく、誰かの迷惑になる様な事はだめよ」とアリアちゃんを説得。



「最近、農場を増やし過ぎて大分荒野がなくなってしまったのだ……」とママンに言った。ママンも、一番苦労するはずの人手の部分が邪神や悪魔達であり。増やすだけでありがとうございますを唱和し、召喚獣等や魔法生物を創り出しやりたい放題エンジョイしているのを思い出した。



正に、結果を出しているから文句を言えないという状態。



最近は上と下にも増やせないかとか季節を創り出せないかとか、研究も始めてしまうありさまで魔王が待ったをかけていなければ全荒野緑化待ったなしという人間の国が聞いたらどうなってんだお前ら状態である。無論、最初ヒルダリアが聞いた時は現実を受け入れるまでに実に二十日の月日を要求した。



魔王城の財政は歴代魔王の中でも、百貨店と農場だけで市政の税金を関税以外全て撤廃できそうな所まで来ており。年金を廃止した変わり、命の基金といって教育費や生活困窮魔族の支援をがっつり全額魔王城持ちで行い。次の働く先を魔王城が紹介するという事までやっていて、まだ黒字になっているのである。ちなみに、魔王城が紹介する場合通常の契約と違い。全条件包み隠さず、魔王城に提出しそれを元に労働者が労働環境を選択。条件を破ると魔王城の処刑人達が雪崩をうって襲い掛かるシステムとなっている。


(物騒な花園のエサ)


そんな訳で、この物騒な花園もそっちに移動できないか……とアリアちゃんは思ったのである。アリアちゃんは、綺麗な花園を自宅に作る事を諦めてはいなかった。



ヒルダリアも、アリアちゃんがそう考えている事は百も承知ではあるが。


(無いと困るのよねぇ)


血と肉と臓物が鮮やかで平等なモノであるというのは、魔王城の力の象徴でもある。

いわば権威の類であり、現在の魔王が如何に強大な力をもっていようとお子様では説得力がなく。側近が優秀であり、貴族も文官(公務員)も言わないから(言えないから)成り立っている薄氷みたいなものだ。


ちなみに、軍部は地下闘技場にすっかりはまっており。正規の騎士以外は全員そっちに常駐し。官僚のトップは、ヒルダリアであるから元より掌握している。


(民には見える形の恐怖が必要で、特にブラック商会を作る様な商人を白日の下に処刑する事で少なくとも違反を許さないと言う姿勢を示しているのだから)


「本当にごめんなさいね」そういって、アリアちゃんを抱きしめ背中をぽんぽんと叩いた。


「ははうえ……」悲しそうなヒルダリアの姿を見て、アリアちゃんもしぶしぶ諦めているのだ。


その上で、ヒルダリアはこう考えているのである。



(どぎゃんかせんといかんとばい)←色々混じりすぎ

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