第四十二話 地下闘技場の大仕掛け

「たのも~」いつもの様に特にノックする事もなく扉を開ける魔王様。

ちなみに、読者の為に説明するとここはダンジョンマスターのコアがある部屋で。本来なら厳重かつボスを倒さない限り扉が開く事はない。



だが、そこはアリアちゃんである。

どういうことかというと、ダンジョンというのは閻神が作りたもうたシステムであり。

ダンジョンマスターがコアにとっての最上位ではなく、閻神がコアにとっての最上位。


必然、閻神というのは邪神ヒエラルキーの幹部ではあるが。邪神の王からの命令があれば断る事は出来ない。邪神の王は七柱いるが、その全てがアリアちゃんを守護し猫かわいがりしている為に以下このようになる。


邪神の王「閻神、ボスを倒さずとも扉をあけろ。できるよな?」

閻神「いぇぇぇす!」コア「閻神からの命令により、扉をあけます」

ダンジョンマスター「どぼじで、ボス倒されてないのに扉があくんだYO」←今ここ



当然、扉があくと思っていなかった為風呂上りにパンツ一枚で腰に手をあててコーヒー牛乳を飲んでいるところにアリアちゃんが入って来た。


眼と眼が合う、しばし時が止まり。無言で飲んでいた牛乳瓶を机の上に置くと、ゆっくりとパジャマを着た。


そして、雰囲気をつくり。「何用かな?お嬢さん」(手遅れ感)


「ダンジョンマスターシュウ、相談がある」魔王がパジャマのシュウを見上げると、地下闘技場をダンジョン化して欲しいと言った。


曰く、バトルが終われば怪我も死亡も元通りにする為のダンジョン化。コアも、それだと大量のポイントが必要になりますと難色を示す。



「無論タダでとは言わん、闘技場で戦った分の余剰を好きなだけ吸ってよい。無論、観客席までダンジョン化すれば。掃除も手軽になり、ポイントもたっぷり搾取でき。飲み物食べ物を売れば金子だって手に入るだろう」


しかし、ダンジョンは入ったものを殺さないといけないルールになっておりまして……とシュウは説明する。



そこで、アリアちゃんは邪神の王にキラキラした瞳で両手を合わせてお願い☆彡のポーズを取ってみる。すると、邪神の王達は少し離れた所で閻神を取り囲み。


「「「「「「「できるよな?(圧」」」」」」」

「できまぁぁぁぁす、やりまぁぁぁす!!(涙目」


その場で特例事項が追加され、邪神の王全員の同意がある場合のみルールの変更を許可するとの一文をコアに通達。


結果として、魔王城地下ダンジョン管理下のみ人を殺さなくてもOKになった。

その他、スタンピードやクエスト等も免除され。顔面ハニワになるシュウ。


大はしゃぎして笑顔の魔王様を、優しい顔で見つめる邪神の王達。

それを、ゲッソリした顔で見る閻神。(被害者)



そんな事があり、死なず怪我せず好きなだけ戦える地下闘技場が完成した訳だが。



「ポイントの実入りがおかしいっ!」シュウは目ん玉をひん剥きながらコアの数字を確認するが間違いはない。



蘇生、復元、空調、飲食全部サービスしまくってるのに、三十倍以上黒字なのである。もうウハウハで笑いが止まらないとはまさにこの事。


その為、魔王様から「闘技場が人気過ぎるから、フロアを増やして欲しい」との要望が来ると秒で「今すぐ、ご用意致しまッス!」と速攻で観客席やモニターや審判用のモンスターを精製。


「何でしたら、各観客席の近くに転送陣でもご用意致しましょうか?」と提案までするしまつである。


「遠方の領地を持つ貴族には転送陣、それをやって収支は大丈夫なのか?転送陣は高いと聞く」魔王が心配そうに尋ね、背後の王達が睨みをきかせるが。


「まっっっったくございません!。 邪神の王達の決定によって全ての価格が激安価格になおされた事もあり(優遇)むしろ、恐縮しています」


そうか、ならお願いする。忠義は利益で買うものだととてとて歩いて魔王城に戻っていくアリアちゃん。


過労気味の閻神も、その凄まじい収支をみるやいなや。「このポイント価格でだして、まだ黒字だと……」ともはや諦めの境地でダンジョンマスターとコアに「週二日休み、定時ありを徹底し。報酬は、そのポイントから抜いて好きな様に使え。それが守れているなら後は好きにしろ」


それだけいうと、もう俺は何も見ないぞを貫いた。



ここから、シュウのダンジョンマスターランキングは昇り龍の様に駆け上がるっ!

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