第三十九話 黒騎士(反省)物語
意気揚々と戦利品を抱え、堂々と夕方に帰って来た黒騎士ことアリアちゃん。
自室に戻ると、パパンとママンが仁王立ちしていた。
「あっ……」取り敢えず、今抱えている玩具やお菓子をテーブルに置くと。美しい一礼をして退出(脱出)しようとした。
「おい、待てよ」凄みのある顔で笑うパパン。「何か?」あくまでもシラをきる予定のアリアちゃん。
「お前黒騎士っつったか? ギジェルの野郎が偉い褒めてたぞ。忠義に厚く、礼儀正しく、何より強いらしいじゃねぇか」
「魔王の側近として、力を示せと言われましたので」
そこで、パパンとママンが黒騎士を睨みつけながら言った。
一瞬足が震えるが、今は黒騎士になりきる事に集中するアリアちゃん。
「ふむ、その甲冑……。俺の宝物庫にあった奴を漆黒に塗りつぶした感じだな」
(ギクゥ!)
僅かに肩が震えるも、「そうなのですか?」とさらにシラをきる。
「俺も、ヒルダリアもお前さんを知らねぇ。後で、娘にゃ聞くがな」
(ギクギクゥ!)
「名もなき、じゃなく名前考えて無かったとかじゃないのか?」
(はいそーで~す♪)
「アリアちゃんが召喚した魔神や邪神さん達には名前が無い状態で召喚されて、その場でアリアちゃんは名前をつけていたわよね。でも、あなたには名前が無い。そう、ギジェル程の男がべた褒めする程強いのに……ね」
俺達はスパイを疑ってる訳じゃねぇ、そんなに強いならスパイ何かやらなくても正面からこればいい。とパパンがどかりと椅子に座った。
「名前がねぇって事は、魔術的な繋がり契約が出来てねぇって事になる。そんな強くて、コントロール不能な奴が居たら心配になるだろうが」
「貴方にも、親の自覚があったのですね」「うるせぇよ」
そこで、二人が黒騎士の方を睨みつけた。
視線の中で、ゴングが鳴った気がした。
「んで? 黒騎士だっけか。お前、アリアだろ」
確信をつくパパン、すっと徐に正座してヘルムを取るとそこは何も無かった。
「なっ、中身が無い。アリアじゃないのか!?」
※読者の為に説明すると、全身甲冑のコピーなので中身は初めからありません。
これには度肝を抜かれる、パパンとママン。
そして、ゆっくりとヘルムを元の位置に戻すと両手をついて頭を下げる。
「俺は、魔王様の影。魔王様の怨敵ならば両親だろうが、勇者だろうが全身全霊で戦いましょう。魔王様のご命令があれば、買い物にも行きます。魔王様に対し危害など、滅相もございません」
毒気を抜かれて、パパンとママンが見合わせる。
「じゃぁお前は、アリアじゃないんだな?」(はいそ~です、私で~す♪とは言えん
※魔王渾身のブラフである。
「なんで名を与えてねぇんだよ、あいつは……」
「恐らく俺を呼び出したのが夜だった為、名をつける前に寝てしまい。その後我に名をつける事を忘れていると思われます」
※という設定でいくごり押し
「判った、アリアにはなるべく早くお前に名を与える様に言っとく。疑って悪かった」
とパパンが頭を下げ、ヒルダリアも苦笑しながら「たって良いわよ」と言った。
その後、パパンがなーんだ的な声をあげながら部屋から出ていく。
すると、ママンの眼がすわった。(あかんこれバレてる)
「アリアちゃん?」「あい(猫ミーム風」
もうあからさまにバレているので、低音イケボではなく通常の声で喋るアリア。
「パパはごまかせても、ママはごまかせませんよ」
「あい(猫ミーム風」
「あのギジェルが、他人をほめるなんて想像つかないわ」
「ギジェルと同じ、剣聖の流派っぽいのだけで戦いました(キリ」
「そう、じゃあ罰として。お城の騎士達に剣を特例でコーチしてあげて。早速、弟子にして欲しいってほらお手紙がこんなに」
ヒルダリアが立っている横のソファーの影から、どっさり入った手紙入りの箱を持ち上げゆっくりと笑顔で魔王様がお菓子を置いた横に箱を置いた。
「Nooooooooooooooo!(アメリカコメディ風」
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