グリミー《ある運送会社の物語》

プロローグ

第1話 グリミー

　人間が奥深くに抱いているエゴイズム。人間が存在する限り繰り返される、終わりのないハラスメント。深層心理が蝕まれ、寄生され、感染し感化されていく”周りの人”。その元凶の正体はグリミー。

　グリミーは、自分の尊厳を満たすために、ターゲットを見つけては不快感を与え、周りに、ターゲットを貶める風評を広げ、周りの人を感化し、ターゲットを孤立させ、何か悪いことをしているかのようにターゲットを追い詰めて行く。

　欠勤。退職。

　グリミーは、一瞬ニヤリとして、自分を正当化する。その正当化のために感染させ、寄生し、周りの人を感化していく。

　その感染から、またハラスメントが始まる。終わりがない。終わりが見えない。

　今日もグリミーは、感化された新たなグリミーが、ハラスメントを起こすように、巧妙で狡猾に耳元で囁く。

　"Grimm is endless"

　新たなグリミーは、「キー」と返事をした。