転生したら5本の指に入るほどの実力者になれた件
ぬーん
第1話 転生
「あれ…?ここは?」
気がつくとそこはだだっ広い草原の中だった。周りには見たこともない動物や、綺麗な花が咲いていた。
暫く思考が停止していたが、ふと正気に戻り、私がどんな因果でここにいるのかを思い出していく…
私の名前は夢見 現(ゆめみ うつ)。高校2年生だ。
中3ぐらいの時に父親が浮気をしたせいで離婚し、母親の所で育ってきた。そこから1年後に母親の心は壊れ、働きもせずにパチンコ屋に行って、変な酒で酔っ払っている。
収入といえば私が一生懸命に働いて稼いでいるが、どれだけ頑張っても生活は苦しいまま。家を売り、ボロアパートに引っ越し、挙句学校もやめようかと思うぐらい金に困っていた。
今日もいつも通り朝が来て、パチンコで借金をした母親のために飯を作って、行きたくもない学校に行って、帰った後はバイトに行って…
ただ今日は違った。
家に帰っても母親がいない。いつもならこの時間には母親が家にいて、飯を作れと喚くはずだ。だが、その母親がいないのだ。どこに行ったのかと家の中を探すが、見つからない。当たり前だ。ふと、小さな紙切れが落ちていることに気づき、それを拾い上げる。
そこに書いてあったのは母親が残した手紙で、簡潔に言うと私の稼ぎが少なすぎるせいで家出したということが書かれていた。これからは養ってくれる男性を探して幸せに生きるらしい。
その瞬間に、私の何かが切れたような感覚を覚えた。もう、全てがどうでもいいと思ってしまい、
その日の内に私は自分で自分の命を断った…はずだ。
ふと目覚めると、そこは光に包まれていた。
私は一瞬混乱したが、ここが恐らく「あの世」…天国か何かであることを理解した。それと同時に何やら翼と腕が幾つも生えた化け物と翼が生えた人型の化け物が二体、そいつらは布か何かで頭を覆っていて顔は見えない。そんな奴らがこっちへ向かってくるのが分かった。
私はパニックになりかけたが、その「何か」が指を振った瞬間にそれが治った。治ったと言うより、何か強い力で押さえつけられているような感覚がする。
そのまま翼と腕が何本も生えた奴が話し始めた。
「こんにちは、私は導く天使を勤めているギールと申します。」
そういいながらギールとやらは頭を下げた。
「こちらの2人は護衛天使です。階級が低い天使なので名前はありません。」
ギールがそう言うと、護衛天使は少し頭を下げる。
「そして今から貴方の罪…要するに生前の行いを調べさせてもらいます。」
「それに応じて貴方が今後行く場所…貴方たちが言うところの天国だとか地獄だとか…あと極楽とも言われている場所ですね。」
「質問があれば言ってくだ「お前達は何をしに来たんだ?」
「…疑心暗鬼になるのも分かります。今の人間には無神論者が多いですからね。」
「私たちは常に公平で、正義でなければいけない者です。」
「じゃあ私は何でこんな不幸になっているんだ?常に公平だったら私はこんな事にならないはずだろ。」
「私たちの活動源は人間からの信心と供物です。私たちの存在を信じない者にどうして祝福を与えられるでしょうか?」
「…」
私はその傲慢さに呆れ、物も言えなかった。自分からその姿を見せずに信じてくれるとばかり思い込んでいる神に。
「質問は終わりですね?ではこれから貴方の罪を数えます…
そこから15分ほど経った。
(思ったより短かったな…)
「これで以上です。ではこれから貴方が行く場所を発表します。」
「これから貴方は異世界に行ってもらいます。所謂流刑と言うやつですね。」
「え…?」
「主な要因として、貴方は自殺をした事、貴方が無神論者である事が挙げられます。」
「では今から異世界へ転移する準備を始めますので少しお待ち下さい。」
「ちょ、ちょっと待って!」
「五月蝿いですね。もう判決は決まったのですよ。」
「いや流石に「お黙りなさい。」
そのまま私の身体は謎の力で抑え込まれた。
「ぐ…」
「転移先は…ここが良いかな?」
「あの…ギール様。この世界に転移させると彼女の身体では魔力に耐え切れないのでは…」
護衛天使の一人が口を挟む。
「おお、そうだった。うっかりしてたよ、ありがとう。」
「じゃあ私達の祝福を与えて身体の再構築をすれば耐えられるな。」
軽い調子でかなりおぞましいことを言っている。普通はかなりの恐怖を覚えるはずだが、心が圧迫されているような感覚がして恐怖すら感じれない。
「ということであなたたちの価値観でいえば異世界転移ではなく異世界転生になりました。」
「では今から異世界へ転生してもらいますね」
…そうだ、それでこんな所へ…
ー???本部ー
「近くで時空間の異常を探知したらしい。付近で人型の何かを確認した。お前が行って接触を試みろ。」
「え?俺?」
「そうだ、既に偵察が監視をしている。でー…あいつが欲しがってるやつだったら殺すなよ。」
「分かった分かった。行ってくるよ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます