第4話 梨花との距離

パーティーの翌日、僕は仕事の依頼に追われながらも、昨夜のことを思い返していた。中村梨花との会話が特に印象に残っていた。彼女の静かでミステリアスな雰囲気には、どこか惹かれるものがあった。


その日の午後、マンションのエレベーターに乗ろうとした時、偶然にも梨花と鉢合わせた。


「こんにちは、翔さん。」梨花が微笑みながら挨拶してくれた。


「こんにちは、梨花さん。昨日は楽しかったですね。」僕の心臓が少し早くなる。


「ええ、とても楽しかったです。お仕事はどうですか?」


「依頼が増えて大変ですが、やりがいがありますよ。梨花さんはどうですか?」


「私も忙しいですが、充実しています。ところで、今度一緒にランチでもどうですか?」


突然の誘いに少し驚いたが、心の中で嬉しさが込み上げてきた。「もちろん、ぜひ行きましょう。」え、僕、今何て言った?でも、嬉しい。


「それじゃあ、明日の正午にロビーで待ち合わせでどうですか?」


「わかりました。楽しみにしています。」うわ、どうしよう。明日が待ち遠しい。


梨花との会話が終わった後、僕はエレベーターの中で彼女の笑顔を思い返していた。彼女との距離が少しずつ縮まっている気がして、心が温かくなった。


翌日、約束の時間にロビーで待っていると、梨花が現れた。彼女はシンプルなワンピースを着ていて、その姿がとても美しかった。息が止まりそうだ。


「お待たせしました、翔さん。」


「いえ、僕も今来たところです。行きましょう。」


近くのカフェに入り、ランチを注文した。店内は落ち着いた雰囲気で、二人でゆっくりと話すにはぴったりの場所だった。


「翔さん、デザインの仕事を始めたきっかけは何ですか?」梨花が興味津々に聞いてきた。


「大学の頃からデザインに興味があって、卒業後にフリーランスとして始めました。自分のアイデアを形にするのが好きなんです。」こんなに真剣に聞いてくれるなんて。


「素敵ですね。私はいつも他の人の作品を見て感動するばかりで、自分では何も作れないから、デザインができる人って本当に尊敬します。」


「ありがとうございます。梨花さんは何か特別な趣味とかありますか?」


「趣味と言えるかどうかわかりませんが、写真を撮るのが好きです。自然や街の風景を撮るのが特に好きで、時間がある時によくカメラを持って散歩します。」


「それは素晴らしいですね。写真もデザインと同じく、何かを表現する手段だと思います。」


「そうですね。お互いに表現することが好きなんですね。」


そんな会話が続き、僕たちはお互いのことを少しずつ知っていった。ランチが終わる頃には、心地よい親近感が生まれていた。


「今日は楽しかったです。ありがとうございます、翔さん。」


「こちらこそ、誘ってくれてありがとう。また一緒に出かけましょう。」


「ぜひ。また近いうちに。」


梨花と別れた後、僕は心の中で彼女との関係が少しずつ進展していることを感じていた。彼女との時間が、僕にとって特別なものになりつつあった。なんだか、夢みたいだ。


その日の夜、仕事をしているとスマホが震えた。美咲からのLINEだった。


「翔、ちょっとお願いがあるんだけど。」


「どうしたの?」


「友人が新しいカフェをオープンするんだけど、そこのロゴデザインを頼めないかな?」


「もちろん。どんな感じのデザインがいいの?」新しい依頼か。嬉しいけど、ちょっと忙しいな。


「彼女のカフェはナチュラルで落ち着いた雰囲気だから、それに合う感じでお願いしたいの。」


「了解。すぐに取りかかるよ。」


「ありがとう、翔!助かるわ。」


新しい依頼が増え、仕事がますます忙しくなる中で、僕は充実感とともに、新たな出会いと挑戦に向けてさらにやる気が湧いてきた。梨花との関係も少しずつ進展しており、僕の生活は以前よりもずっと色鮮やかになっていた。


この調子で、僕はさらに前進していくことを決意した。よし、頑張るぞ。

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