第44話 女子高生、贄の儀式の真実を知る。
「じゃあ、
ササメさんは、指先で瞳をぬぐうと、キリッとした表情になって、アタシに確認をする。
「はい!」
「あい!!」
アタシの返事に反応して、
「あーい!!」
「あーーーーーーーい!!」
「きゃははははははは!」
「うひゃひゃひゃひゃ!」
「うふふふふふふふふ!」
おそろいのポーズをした三つ子ちゃんは大喜びだ。
うーん、これ、やっぱり話が進まない気がする。
「ほらほら!
「ぷいぷいぷい!」
「ぶぅーーーー!」
「いやんいやん!」
「だめだ! 寝室行くぞ!!」
「おぎゃーーーー!」
「ぷぎゃーーーー!」
「うわーんーーー!」
三つ子ちゃんはギャン泣きをして抵抗するも、
「ここは俺にまかせろ! ササメとロカ、あとは頼んだぞ!!」
「おぎゃーーーー!」
「ぷぎゃーーーー!」
「うわーんーーー!」
まだねんねじゃない!! と、必死に訴える三つ子ちゃんたちの断末魔を全身で受け止めて暗がりの寝室に去っていく。
「ありがとう、あなた……」
うっとりとした表情で、
「じゃあ、話しを戻すわね。まずは
「はい」
「贄の儀式は、ダンジョンを生み出す幻獣である、脈龍を鎮めるために行われている。脈龍は普段は眠っているけれど、二十年に一度ほどの周期で目覚めるの。そして、脈龍の生贄として捧げられるのが贄の巫女。この儀式の歴史は、西暦672年の壬申の乱までさかのぼる」
「はい。知っています。伊勢神宮の
生まれたときから、父親から何千何万回と聞かされてきた話だ。
「でもその伝統は、いまからちょうど二十年前に破られる。先代の贄の巫女、
「そう! それが原因で起こったのが、十七年前の九州大震災! あれは人災よ。贄の巫女の責務から、
「
「モチロンだよ!! 九州大震災で何十万人もの人が死んだんだよ!? 脈龍のせいで、
「本当に? 心の底から??」
「そ、そりゃあ、モチロン怖いけどさ! でも、それしか方法がないんなら仕方がないじゃない!!」
「他に方法があるとしたら?? 例えば、脈龍が、倒せる存在だとしたら?」
「え?」
ササメさんが、少しだけ口角をあげた。
「まず、脈龍について説明しておこうかしら。脈龍はダンジョンを作り出す『幻獣』
のなかの一匹よ」
「はい。知っています」
「でも、脈龍は、他の幻獣とは明らかに異なる特徴を持っている。何かわかる?」
「えっと……身体がずば抜けて大っきなところかな? 全長10キロを超えるんだよね?」
「その通り。でもそれだけだと、正しい正解とはいえないわ。脈流の最大の特徴は、身体の中にダンジョンを宿すこと。脈流は千数百年ものあいだ、マナを体内に留める体質を持つ人間を食べて、少しずつ体内のダンジョンを巨大化させていった」
「それって、まさか……」
「ええ。贄の巫女と呼ばれている脈龍の生贄になった人たちよ。つまり、千数百年のあいだ脈龍を封じていると信じられてきた贄の儀式は、脈龍に力を蓄えさせて、脅威を次の世代に先送りするだけの行為に過ぎないってことなのよ」
「……そんな」
アタシが生まれたときから父親に背負わされた任務っていったいなんなの? 今まで何十人と食べられていった贄の巫女は無駄死にだったってこと??
「幻獣に対する知識……つまり、シェールストーンとマナの知識が不足していた時代なら、贄の儀式を否定しきれなかったと思う。でも今は違う!
「でも、どうやって……」
「うふふ。わたしはもう、答えを言っているわよ」
答えを言っている?? ちょっと何言ってるかわからない。
まったく見当が付いていないアタシを見かねたのか、ロカさんが話にくわわる。
「じゃあ、大ヒント!!
「ふたりで協力して……ああ!
「そう!
ヒサメさんが話しをひきつぐ。
「つまり、脈龍の体内に穴を開けることができるってわけ。その穴から体内に侵入して、本体であるゴールデンカナヘビを倒せば、きっと脈龍は消滅をするはずよ!!」
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